堺はまち『アらイぶ』
日曜夜の素晴らしき喧騒の余韻を首の筋肉痛に感じております。ヘドバンは肩こりに効くって嘘ですな、あれは。脈絡無い話ですが、gosplan大兄(酒とエロ漫画の日々。さん)の「隠されたメッセージ」に(失礼ながら)笑わせてもらいました。
おおとりりゅうじ先生の新刊が個人的には大ハマリだったのですが、そちらより先に堺はまち先生の『アらイぶ』(ヒット出版社)のへたレビューです。
作風・絵柄共にクセが少なく、ヒロインを美しく仕立て上げる絵の巧さが光るラブコメH作品です。
収録作は、猫耳コスな娘さんたちの働くマッサージ店に入ったら…な「にゃもみん」前後編(←参照 店長さんです 後編より)、他短編7作(内1作は描き下し作品)となっています。1作当りのページ数は16〜24Pで、平均20P弱。後述するように、シナリオ・エロ共に量的にはともかく質的なボリューム感(変な言い回しで申し訳ないが)に欠けるため、読み応えは乏しいです。
シリアス成分少なめなシナリオの作風は基本的に明るく、短編「ライラブリ」「えんむすび」などのように幸福感のあるラストか、「ちびてぃ〜」「にゃもみん」のようにハッピー&コミカルなラストを迎えます。
恋愛系統では彼氏君への思慕をちょいと切ない心情に絡めて描くこともありますが、全般的にシナリオはあっさりめであり、「お話」としての面白さはほとんど感じませんでした。
夜道で襲われていた少女を助けたら何と宇宙人さんでした!(←参照 当然ながらこの後同居します 短編「FAMILY」より)とか、忘れ物を取りに行ったら憧れの美人生徒会長がオナヌーしてたとか(短編「ひみつの放課後」)、旧世紀から続くエロ漫画展開のテンプレートを逐次投入。僕はテンプレ展開自体にはプラス評価もマイナス評価もしないのですが、もうちょっと堺先生なりの味付けがあってもいいのでは…とは思いました。
なお、短編「FAMILY」で同棲開始1P後に「出逢ってから…もう三ヶ月経つんだな」という台詞を見た時には、流石に本を閉じてそのままダンボール直行にしようかと思いました。
絵に関してはかなり質が高く、今単行本の売りの一つです。スタイリッシュな絵柄で描かれるヒロイン達には媚びや嫌味の感じられない美しさがあり、H大好きなマッサージ嬢だろうとドキドキ初Hの処女であろうと独特の清涼感・透明感があります。
ロリっぽい絵柄要素はあまりなく、キャラの等身はやや高めです。このスレンダー美女・美少女のキャラデザとコミカルなシーンで挿入される可愛らしいデフォルメキャラ(←参照 短編「えんむすび」より)が好対照になっていました。ヒロインはハイティーン〜成人女性が中心(1人は子供体型な成人女性)で胸はナイ胸さんから巨乳さんまで、時々メガネさんやコスチュームプレイ等も投入し、ヒロインのバラエティーは豊かと言ってよいでしょう。
その美しい肢体が絡み合うエロシーンは1コマ1コマの完成度は高く、漫画的に巧く処理している性器描写と清楚な印象のあるキャラデザを巧く調和させています。
美男美女が愛し合うHが描かれる(←参照 「ライラブリ」より)故でもありますが、体の動きの激しさや「俺は!今!やらしいことしてるんだ!」という迸る欲望や熱気にはかなり欠けています。アナル関係等、多少変態チックな要素もあるのですが、それすら「綺麗な性行為」の範疇に含めてしまう作劇は味気ないのか、むしろ凄いのかやや判断に悩むところでした。
とまぁエロに関してはやや淡白で無機的な印象があり、もう少し有機的な「汚い」表現があってもよいのではとも思うのです。
表紙絵の通りに清涼感と華やかさの同居する絵柄は魅力的であり、毒気やクセを徹底的に排した作劇も多くの人に受け入れられるであろう要因です。
それ故に、エロ漫画としての面白みはややもすると少ないと感じる人も少なくないのでは?と感じました。
レビュアーの性かもしれないのですが、脂と荒熱とコゲと小骨を丹念に取り除いた「日本橋の秋刀魚」よりも焦げ目から脂がジュウジュウと下品に滴る「目黒の秋刀魚」を食べたいなぁという感じです。
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