苺野しずく『ストロベリィ・トゥリル』
昨晩は酔い潰れた後輩の介抱で大変でした…。いい年なんだから酒量ぐらいは自分でなんとかして欲しいものです…。まぁ、僕も昔1回お酒で救急車に乗ったことありますけど(記憶は全くないが)。
本日は苺野しずく先生の初単行本『ストロベリィ・トゥリル』(コアマガジン)のご紹介です。恥ずかしながら苺野先生は全くノーチェックだったので、知らなかった良作に巡り会えて嬉しいです。
漫画チックに彩られた等身大の恋心が魅力的な美少女達との甘酸っぱいラブ・アフェアが描かれるタイトル通りの作品集です。
収録作は、恋人が死んだ兄の妻(義姉)になってしまい、気持ちのすれ違う男女を描く「ぼくのSUKIななずな」(←参照 2話目より)全2話、他短編9作と描き下しカラー短編1作となっています。カラー作品を除き、1作当りのページ数は10〜20Pでほとんどは16Pです。作品中にて描かれる男女のピュアの想いは素敵ですが、読み応えという点では物足りなさは残ります。
「新米死神さんが死ぬ前に(勿論性的な意味で)お願いを叶えちゃうぞ(はあと」というファンタジック&コミカルな短編「死神さん太郎」を除けば、基本的に恋人たちの愛を確かめ合うセックス、もしくは恋人になるステップとしてのセックスが描かれます。
後者に該当する、失恋の自棄酒の勢いで別の男を挑発して…な短編「リズムイズム」や宅配弁当配達員の娘さんをデリヘル嬢と勘違いして…な短編「三ツ星らんちさん」では、関係の全くなかった二人が行為を介して結ばれる筋ですが、ページ数の少なさもあって説得力にはかなり欠けます。
ただ、ご都合主義成分は多くとも、彼女たちが彼女たちなりの「恋の幸せのカタチ」を見付けて微笑むラストは心地好いです(←参照 短編「リズムイズム」より)。好き合う恋人たちを描く短編でも、単にラブラブイチャイチャということは少なく、ちょっとひねた男の子や素直になれない女の子達が登場します。
上述の「ぼくのSUKIななずな」は家のしきたりと恋心の狭間から抜け出さないやや哀しいラストでしたが、その他の短編ではあくまで互いの恋心がまっすぐに描かれます。
行為の最中には可愛さあまっていじわるをしてヒロインを困らせたりしますが(←参照 短編「ぼくのSUKIなあやね」より)、主人公たちの心はヒロイン達に首ったけであり彼女たちを大切に思っていることは伝わりました。今単行本の最大の魅力と感じたのは、エロ漫画としての取っ付き易さを残しつつテンプレ設定に依存しないヒロイン達のキャラクター造形のよさです。
時に奔放で、時にいじましく従順な彼女達が垣間見せる芯の強さや揺るがない恋心は、いわば”大和撫子”の理想型を想起させ、実に日本人好みだなぁと個人的には感じました。
お気に入りは、パンチ力のある開始1Pを誇る「チェリー・ちゅー・チェリー」(←参照)。いきなりとんでもないコトを言っているヒロインちえりちゃんですが、一見軽薄そうな彼女が内に秘めた恋心を実らせるため、彼女なりに一生懸命な様は非常にいじましく応援したくなります。
丸々1Pを使った思い切った構図・表現のスタートと、控えめな表現ながらも強く純粋な恋心を表現したラストの小コマの対比が見事な作品でした。
エロに関してはセクシーに描かれた唇の魅力やそこそこ生々しく描かれる女性器などもあって、愛らしいヒロインズの痴態が楽しめます。
力強くキャッチーな太い線と繊細な細い線が同居する絵柄も、性の快楽の華々しさを魅力的に描けています。
しかしながら、ボリューム感に乏しいことやあくまで互いの心情の確認行為としての性行為であり、煩悩の刺激能力はあまり高くないのは事実かと思われます。
飾らない恋心と甘い恋愛模様を重厚なストーリーや過剰な心理描写を排しつつ、「物語」として魅力的に描けています。
やや登場人物のキャラ立ちに頼りすぎな感や話のボリューム感の無さに不満もありますが、ウェルメイドな恋愛H作品と言えるのではないでしょうか。
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