そうま竜也『もっちゃん』
TVアニメ『世紀末オカルト学院』第11話「マヤの死」を観ました。先週の予告の時点で、これは一体どうなるのか!?と思いましたが、その斜め上をいく超ド級のB級展開でしたな。このまま最終回まで大暴れしてくれれば大変結構だと思います。あと、言わずもがなではありますが、キスシーンがエロ過ぎです。汗、涎の液汁描写が秀逸でございました。
さて本日は、そうま竜也先生の『もっちゃん』(茜新社)の遅延へたレビューです。せっかく6年ぶりの成人向けの単行本だと言うのに、管理人の筆不精さもあってだいぶレビューが遅れてしまったのは大変申し訳ないです。
小さな幸せと悩みに溢れた日常の中で、少年少女達が繰り広げるハートウォームなラブストーリーが楽しめる作品集となっています。
収録作は、田舎を舞台にエッチに興味津々な地味っ娘・もっちゃんとそんな彼女のドストレートな誘惑に乗った先輩の恋とエロの日々を描く長編「もっちゃん」シリーズ全7話(←参照 二人の出会い 長編第1話「もっちゃん」より)、とある理由で処女を捨てようとする女の子と隣人のロリコンオタク浪人生のちょっと変わった初エッチを描く「ぴかち」シリーズ前後編。1話当りのページ数は24~32P(平均25P弱)としっかりとしたボリュームで通しています。ストーリー的な読み応えは乏しい一方で、実に味わい深い作劇となっており、心地よくゆったりと読める1冊になっています。
【楽しく優しく紡がれる性春の日々】
オタ・ロリ・プーとどっかの誰かを彷彿とさせる駄目浪人生とその隣りのツンデレ少女の、奇妙ではあるが微笑ましいセックス初挑戦模様を描く連作もニヤニヤ感満載の良作ながら、今巻のメインは単行本タイトルが示す様に「もっちゃん」シリーズの方。
勉強も頑張りたいが、エッチなことでもやもやして大変という生真面目なんだかお馬鹿なんだかな少女・もっちゃんと、優しい性格ながら年頃らしくこれまた性欲をその身に充満させる先輩君の日々を描くこのシリーズは、冒頭の展開こそ急進しますが、その後のストーリーラインは非常にゆったりと流れていきます。
まだ子供らしさも残る登場人物達がセックスを重ねてゆく流れには、派手なドラマ性も繊細な叙情性も存在しないながら、純粋であるが故に厭味のない好奇心と性欲こそが忌憚なく描かれており、二人の飾らない性の春こそを祝福したくなる物語。
未成熟な心と体に納まりきらない性欲と恋のエネルギー故に、些細な出来事に時に悩み、戸惑い、悶々とする様子も描き出しつつ(←参照 いいこと言ってる様で理由は結構しょーもない シリーズ第7作「もっちゃん 最終回」より)、好きな相手と肌を重ね、性交の快楽を交感し、そして素朴な愛の言葉をささやく、そのシンプルな喜びの中に全てを飲み込んでいく作劇が非常に心地よいと言えます。作中でもっちゃんが度々口にする“本能”という言葉が示す通り、また、気象も生物も活力に満ち溢れた作中の夏の季節と同じく、描かれる性行為は混じり気のない性の営みであり、また生の営みとも映ります。所謂まったりとゆるい日常系の話作りでもあるのですが、そのタイプが時々伴う凡庸さに乏しく、ノスタルジックささえ静かに漂ってきています。
作品の最後のページの下に“End”の表記こそあるものの、彼ら彼女らの平穏な日常がそのまま続くことを表しており、最後まで“大したこと”が起きない故に味わい深さを増した作劇であったと評せます。
【これぞモンゴロイドスタイルな思春期ボディ】
連作・長編シリーズ共に女子中○生ヒロインであり、思春期真っ只中の成長期ボディは成人女性特有の丸みもまた備わってきた肢体であり、ちんまいボディではありますが、LOメインストリームのロリロリボディとは趣きが異なることには要留意。
共に一人ヒロイン制であるため、単行本を通してヒロインの多様性などあったものではないですが、彼女達のちょっとお馬鹿で純粋な言動をゆったり見守れるのはむしろ嬉しい点でしょう。
連作「ぴかち」のヒロイン・ひかるちゃんは、負けず嫌いなツンデレ娘、駄目人間な男性の前でわざわざスク水・リボン付きツインテール姿に変身してくれるサービス精神と、なかなか漫画的に華のあるキャラです。それに対し、長編作のヒロイン・もっちゃんこと、理奈さんは短髪地味メガネのちんちくりん娘と、悪く言えば華のないキャラ造形ですが、如何にも純粋な田舎少女像のキャラメイキングとして好適。
いかにも農耕民族日本人でございますと言わんばかりな、下半身周りを中心としたぽっちゃり体型であり(←参照 表情もキュートですが、尻~太股の肉感に注目あれ 長編シリーズ第3作「もっちゃん大川家へ行く!!」より)、ふっくらと膨らんだ思春期おっぱいも含めて幼さや萌えっぽさというよりは、いい意味で泥臭い熱っぽさや生気を感じさせる肢体造形という印象です。とは言え、股間やほっぺなど、局所的にプニプニとした質感が強調されている体パーツもあり、強い煽情性があるとはやや言い難いのですが、ロリ的な可愛らしさ・エロさも一定の強度で付与されてはいます。
作中でもっちゃんが日本代表を応援しているオリンピックがアテネ大会であることから知れる通り、初出時期は5~6年前と古いのですが、前世紀から活躍するベテラン作家だけあって、表紙絵と比して遜色のない絵柄でほぼ安定しています。また、喜怒哀楽の感情表現に少年向けギャグ漫画的な楽しさがあるのも個人的には◎。
【演出としてアタックに欠けるが静かに滾る熱情が伝わる濡れ場】
エロシーンとシナリオパートが混交することで、濡れ場が分割されてしまっていたり、そもそもセックス描写そのものが多くなかったりするケースがあり、またエロシーンになってもほのぼのとした空気感が維持されていることは、抜きツールとしての量的・質的な物足りなさにつながる可能性はあります。
しかしながら、長編作ではゆったりとしたシナリオ進行を取る故に、複数話にまたいだセックス描写を可能としており、少年の家を訪れたもっちゃんが、エッチしてお風呂に入って、そしてまたベットの上で交わる数時間を4話分も設けて描くスタイルは、かなりユニークであり、二人の時間に濃密さを与えています。
絵柄こそある程度モダナイズされているものの、エロ作画の手法論がかなりオールドスクール寄りであるのは否めず、どうにも野暮ったい擬音や台詞が崩れた手書き文字で散りばめられるエロ演出なども含め、最近の洗練されたエロ演出・作画になれている方にはやや魅力が薄いのかもしれません(←参照 男の子の表情なんかも如何にも旧世紀的で懐かしいですなぁ 長編シリーズ第6作「もっちゃんで どんっ!」より)。股間の違和感に顔面を歪めたり、絶頂の快楽にちょっと間抜けな表情を晒したり、相手の体に抱きしめらて緊張がスッと抜けたりと、これまたキャッチーな派手さはエロシーンの表情にはないのですが、ゆっくりと、それでいて力強い体の動きなども含めてリアル指向な描き方とも考えられる要素です。
ヒロイン・もっちゃんは中出しされることの快感・幸福感を求めており、潤んだ瞳で中出しや初挑戦したいお口フィニッシュなどを要請してくる様が大変可愛らしく、彼氏・大川君と読み手の射精を強力に喚起。ストーリー序盤こそ、絶頂などよく分からんうちに終わっていたセックスが、ヒロインの向学精神の強さの賜物でしっかりと快感を覚えられるようになるに従い、フィニッシュシーンのインパクトがより強くなっているのも面白い点です。
現代的なエロ作画として構築すべく、結合見せつけ構図や断面図等も投入しており、決してそれらの質が低いわけではないものの、無理してやっている印象もあり、ほっこり温かそうな肢体や上述の微笑ましい表情などの魅力が中核と個人的には思います。
強力な抜き物件ではなく、とは言えエロの熱量が薄いわけでは決してなく、また、繊細なストーリー漫画でもなく、かといってテンション高く駆け抜ける現代的なラブコメとも異なる印象を持つ、実は結構変わり種の作品構築と言えるのですが、多くの方がかつて経験したであろう、小さな悩みや困惑と慎ましやかな幸せがきゅっと詰まった1作と言えるのではないでしょうか。
取りあえず、単行本化して本当に良かったなぁという感想が何よりも先行しているのは確かですが、緻密なストーリーのエロ漫画作品やハードコアなエロ漫画からちょっと離れて、ほっこりしたい諸氏には大変お勧めです。
あと、大川君の妹さんが大層可愛いので、何時の日か彼女のラブエロ模様も描いて頂けたら素敵だなぁと思います。
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