さいこ『絶対陵辱』
『会長はメイド様!』(藤原ヒロ 白泉社)の幸村キュンは、誘い受けよりもへたれ攻めであって欲しい。そんなことを5巻を読んで思いました(エーBL詳しい人はどう思うのでしょうかね?個人的にはクールメガネなしず子ちゃんが一等お気に入りですが。
花とゆめコミックスと読者層はまずもって重ならないだろう、さいこ先生の『絶対陵辱』(コアマガジン)のレビューです。
過激さに高低はあるものの、異様な雰囲気の中での一方的な性的暴行が描かれる作品集です。
収録作は全て短編で9作。1作辺りのページ数は16〜30P(平均22P弱)で一般的な分量です。
なお、短編「先生の悩み事」「美術の先生」はデビュー時のかなり古い作品で絵柄も(←参照 「美術の先生」より)、痴女さんが登場する作風も他の収録作と全く違います。作画にしてもシナリオ展開にしても、何とも拙い印象が強いのでこれはマイナス評価。
上記短編を除けば、ハイティーン〜成人クラスの女性が容赦のない陵辱行為に晒される作品しかありません。
個人的に倒錯的な雰囲気がお気に入りな短編「紗弥さん」は、疲れとアルコールで絶対に目覚めない睡眠中の女性(←参照 「紗弥さん」より)に好き放題という作品ですが、当然これも一方的な欲望に基づく行為でしかありません。短編「机の下で」や「ネコミミアイドルミーコたん」など、行為そのものは(陵辱モノでは)普通(?)な作品でも、苦痛描写や陰湿な印象がしっかり表現されています。
特に短編「ビリオンファイト」はエロとか強姦とかを飛び越えて、もはや残酷絵巻の1歩手前と言ってよい過激なものです。
「ビリオンファイト」を除けば、僕は美味しくごはんを頂けましたが、可愛らしい二次元美少女をさくさくレイープ、でもラストはコミカルで安心!みたいなヌルめの陵辱が好き程度ですと(僕はその手の作品も好きですが)嫌悪感を持つ可能性が高いので、鬼畜・陵辱作品をしっかり分別を持って楽しめる人以外にはお勧めしがたいです。
絵柄に関して言えば、体型や表情はリアル指向で多少クセはあります。気の強そうなヒロイン陣によくマッチした絵柄ですが、万人受けする絵柄ではないことには注意が必要です。
作中では、陵辱する男性側は獣欲や憎悪にまみれた非常に醜悪な存在として描かれます(←参照 「知らねーし」より)。こんなコマが頻出しますが、ホラー漫画でなくエロ漫画です(汗。化け物じみた男性が拳骨で女性の顔面を殴打するなど暴力性も高く、バイオレンス耐性がないと胸糞悪くなること請け合いです。
バイオレンス描写にしても過激な陵辱にしても、1点突破しているのは大きなアドバンテージだと思いますが、いくつか欠点もあります。
最大の難点はシナリオの貧弱さであり、「性行為の終了=物語の終了」になってしまっています。ラストでさらなる過酷な現実を突き付けるなり、一筋の光明を示すなりしないと折角の過激さが宙ぶらりんになる感じがします。
設定や話の展開に無理があることも多く、異常な雰囲気は大切にしつつもう少し話に説得力を持たせて欲しいです。
もう一つは個人的な趣味嗜好なのですが、古風なスケバン(←参照 「ヤンキー冴子」より)とか女性覆面レスラーとか、かなりニッチなヒロインを投入しておられ、その手の属性を持っていない僕には魅力が感じられませんでした。これは逆に、マニアックな趣味をお持ちの方にはお勧めできる要素になるかもしれません。
やや安直に過激さだけを振りまいている感もありますが、生理的嫌悪感を抱かせる野郎どもによる激しい陵辱は十分ユニークではあります。
全体的にプッシュできる点が少ないのは残念ですが、暴力と歪んだ欲望に満ちたカオティックな世界を覗いてみたい貴殿は挑戦する価値あるかもですよ。
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