音無響介『公開挿入』
まだ5月だというのに、夜中蒸し暑いですね。風呂上がったらしばらくパンツ一丁で団扇をパタパタやっています。これでビールと枝豆があれば最高です。
さて、久しぶりに陵辱成分のある作品、音無響介先生の『公開挿入』(ティーアイネット)のヘタレビューです。
男性の剥き出しの性欲による一方的な陵辱行為、および好き合う男女が共に性感の喜びを分かち合う愛の行為の双方をボリュームたっぷりに、かつパワフルに描く作品です。
収録作は、家族達(父親、兄、弟)に性的虐待を受ける少女の惨禍と救済を描いた長編「雪の夜のマドンナ」全3話、清い関係から一歩進展しようと彼女さんが男受けする格好にチャレンジしたら悪漢に襲われて…な「いとしのナマクラ」前後編、他短編1作となっています。
1話当りのページ数は22〜58Pで、平均37Pと圧巻のボリューム。
特に「雪の夜のマドンナ」は長く、やや安直なシナリオ展開ながら、個々の描写の積み重ねによってストーリーに説得力を持たせています。
「雪の夜のマドンナ」では中盤まで、家族ぐるみの性的虐待が描かれます。登場時点で既に、堕胎を繰り返した体はボロボロで精神は崩壊一歩手前、精気に欠けた目で快楽と恭順の言葉を”言わされている”姿は悲惨の一言です(←参照 「雪の夜のマドンナ」前編より)。実の家族に婢女のように扱われ、性欲の捌け口にされ、あげく弟の「ゲーム機を買う金が欲しい」という下らない理由で売春まで強要されます。
物語の序盤〜中盤で描かれる激しい陵辱では、虐待者の家族達の自分勝手さや彼女を”買う”男性達の獣じみた性欲と、それに従わざるを得ないヒロインの諦観・絶望がセットで描かれます。
しかし、終盤でヒロインを想う先輩男子の告白、愛する女性を救いたいという強い意志を聞かされることで彼女は過去と決別し、彼と共に生きようと決断します。
調教されたために性技に熟達したヒロインが先輩をリードする形で性行為が始まりますが、男の「せめて彼女を気持ちよくしてあげたい」という誠意に固められた力強くも優しい注挿が荒んでいたヒロインの心を癒していきます(←参照 「雪の夜のマドンナ」完結編より)。幸福感に満ちた表情で心から性の快楽を共に味わう姿は、上記の陵辱との素晴らしい対比となっており、読み手の気持ちすら救済してくれます。
彼女の事情を全て知った上でその全てを受け入れる男のクサくてベタベタな、しかし物凄く熱い台詞とそれに続く抱擁は印象的でした。
中編「いとしのナマクラ」も、彼氏の前で悪漢に処女を散らされた彼女さんが、彼氏君との愛の行為で救われるという似たような筋ですが、コミカル要素が結構入っており、作風の印象はやや軽め。
短編「Oh!ティンティンプリーズ」はタイトルまんまのギャグ調作品です(←参照)。大笑いしたかと問われると、微妙としか言えませんが、このユルイ雰囲気も悪くはないです。あと、「雪の夜のマドンナ」の陰惨なシーンで、弟君が女性器を指して「こいつの観音様だ」とか「こいつのは巾着だからな」とか、「お前本当に10代なのか!?」という台詞回しが頻出するのがちょっと面白かったです。
漢字の独特の振り仮名(女性器(おたから)、共演(コラボ)、強姦って(あじわって)などなど)も評価は分かれるでしょうが、何ともいえない微妙さ加減を勢いで押し通しているのがユニークです。
絵柄にかんしては、すらりとしたモデル体型ですが、顔の造作や胸のサイズ等はかなり現実的に描いており(←参照 「いとしのナマクラ」前編より)、あまり妄想ファンタジーな要素を介入させません。ティーアイネットのお家芸である所謂”ネオ劇画”の影響を強く感じさせますが、細めの線で描かれるヒロイン陣はそれなりにキャッチーさがあり、あまりクセは強くないでしょう。ただ、まぁ、やたらとリアルに描かれる性器や中出し=妊娠の可能性を強調する台詞・ト書きに代表されるように都合の良いファンタジックなエロ妄想との親和性は低いので、アニメ・エロゲー絵柄の二次元美少女たちにサクサク中出ししたい貴公は回避するのがベターかもしれません。
上述の通り、エロは陵辱にしろ純愛にしろ激しく描かれますので、絵柄が合えば十分実用性はあると感じられるでしょう。
シナリオ展開的にはもう一捻り欲しかったのは事実ですが、不幸も幸福も、そしてエロもじっくり丁寧に描かれている印象は強く残りました。
不幸まっしぐら救いゼロの作風も愛せますが、説得力さえあれば逆転のハッピーエンドもよいものです。
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