草野紅壱『恋愛とセックスと僕と彼女』
近所の公園にシャクナゲが何本も咲いています。あの艶やかさは昼間見るとちと下品ですが、夜街灯に照らされた姿は何ともエロチックで大好きです。桜は残念ながら終わりの時期ですが、他の花はまだまだ盛りで観ていると生きる活力が湧いてきます。
さて、本日は草野紅壱先生の『恋愛とセックスと僕と彼女』(茜新社)のへたレビューです。
ちょっぴりコミカルでちょっぴりシリアスな少年少女達のハートウォーミングな恋愛物語がメインの作品集です。
収録作は、好きな幼馴染の女の子に突然「セックスして」と言われることで始まる(←参照)風変わりな肉体関係を描く表題作「恋愛とセックスと僕と彼女」全4話+番外編、および短編2作となっています。1話当りのページ数は16〜28Pで、20P代が基本です。エロシーン以外に登場人物の心理描写やコミカルなシーンを盛り込むには十分なページ数だったと言えるでしょう。
中編作「恋愛とセックスと僕と彼女」では、恋愛感情を否定しながらセックスを求めてくるヒロイン千鶴香ちゃんのキャラ立ちの良さ、シリアスな背景を持ちながら心地よい軽快さを損なわないシナリオ展開の良さが光ります。
千鶴香ちゃんは「体を重ねる」ということにドライな発言をし(←参照)、セックスフレンド(?)な主人公君につっけんどんな態度を取ります。この情報だけですと、何やら嫌なキャラクターですが、決して快楽主義者な痴女や人格破綻者としては描かれていません。彼女がそうなってしまった理由はしっかりと描かれます。相応にシリアスな原因であり、思春期に特有な自罰的とも感じられる感情はちょっと痛々しいです。
奔放そうに見えて、言わば過去に束縛されている彼女を解き放つのは主人公君の真摯な愛情です。千鶴香ちゃんに振り回され、セックスにドキドキし、その未曾有の快楽に溺れながら、決して歪まない主人公の恋心は何だかんだで非情にピュア。
←の台詞はさらりと何でもないよーなコマですが、「過去」に捕らわれた女の子に、「未来」を共にしようと男の子が手を差し伸べる、ボーイミーツガールの王道中の王道と感じられました。この幸福感と適度に盛り込まれたコミカルなシーン・コマのおかげで、ほとんど暗さや重さは感じられません。ヘビィなシリアス恋愛話が苦手な貴公も安心です。
短編「秘密の保健室」は「恋愛とセックスと僕と彼女」のラブ要素を強めた作風、同じく短編の「部屋とメイドさんと私」はコミカルHを前面に出した作風です。基本的な路線は全て同様と考えていただいて大丈夫です。
一時期変化した画風も現在は安定中。表紙絵で判断して問題ありません。ほんの膨らみかけ〜手のひらに収まるくらいの胸をお持ちなスレンダー美少女達が可愛らしく描かれています。
台詞よりも雄弁に心情を語る表情の多彩な変化(←参照)は素敵で、男性女性共にキャラクターの魅力を高めています。エロシーンでも表情の良さがあり、うっすらと涙を浮かべ性の快楽に紅潮した顔はとてもエロチック。行為そのものは非情にオーソドックスであり、(恋愛モノなので当然ですが)激しさとは無縁なモノですので、実用性は低くはないものの大して高くもないと個人的には思います。
ただ、瑞々しい肢体を持つナイ胸美少女(非ロリ)を愛して止まない貴方は多少評価をプラスしてもよいと思います。余談ですが、今単行本はニーソ成分少なめですので草野先生のファンは一応留意してください。
男女共にちょいと一筋縄ではいかないキャラクター達が登場する爽やかなラブコメH作品です。ベテラン故のソツのなさ、エロ・キャラ・シナリオのバランスの良さが光りますが、それは同時にエッジのなさを意味することもあることには注意がちょっとだけ必要かなと。
「恋愛とセックスと僕と彼女」がとてもお気に入りなので個人的には大満足な1作でした。
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