あまの・よ〜き『ヌキプリっ』
桂明日香先生の『ハニカム』第3巻(電撃コミックス)を読みました。萌さんがとんでもなく面倒な女の子になってますな。あの勘違いぶりがいっそキュートです。御手洗君が素敵に朴念仁なので微笑ましいやらもどかしいやらの三角関係になっていますが、守時さんも鐘成さんもどちらもいい子なので悩ましいですなぁ。どっちも幸せになって欲しいのですよ。
さて本日は、あまの・よ〜き先生の『ヌキプリっ』(東京三世社)のへたレビューです。管理人はこの作家さんが目当てでコミックダンシャクを買ってましたなぁ。既に廃刊になって久しいですが、懐かしいなぁ。
小難しいことを考えず我儘放題に動き回る黒ギャルさん達とのエッチが楽しめる作品集です。
収録作は全て独立した短編で10作。1作当りのページ数は短編「男の魅力」(20P)を除いて全て16Pであり、個々の作品のボリュームはかなり小さめ。
シナリオの面白みが乏しいことに加えて、ソフトコア気味のエロの質的・量的な満足感にも欠ける印象ですが、脳味噌に負担をかけずに気楽に読める作品群とも言えるでしょう。
【良くも悪くもイージーなシナリオ構築】
英知出版時代もヤリたい男とそれに振り回される彼女の日常といったいい意味で緩い作劇をするタイプでしたが、今単行本はストーリーの構築は一層ぬるくなっています。
通販で買った怪しげな惚れ薬を付けてみたらモテモテになって普段は冷たいバイト先の女性がエッチのおねだりをしてきたり(←参照 短編「男の魅力」より)、家出中の黒ギャルが男性の家に転がり込んで御礼にエッチをさせてあげたり(短編「素顔のままで」)と、良くも悪くも非常に安易な展開を示します。片や真面目な文学少年に、片や黒ギャルになった幼馴染の男女のセックスを描く短編「図書室はお静かに!!」など、設定的にラブストーリーに発展しそうな作品でも恋愛感情の描出はほとんどなく、どーしょもない(褒め言葉)古風なギャグオチで終わらせるため、話としての味わいはあまりありません。
お金などを目当てに男性を積極的に誘っていく黒ギャルさん達など、やや無味乾燥な雰囲気は“欲望に忠実に遊んでいる”というイメージを持つ黒ギャルさん達を描く作品としては好適ではありますが、単行本通してのあまりに平板な読書感は△。
黒ギャルさんとその彼氏の痴話喧嘩に巻き込まれたサラリーマンの男性を描く短編「mix up」は、ちょっと心温まる終盤展開が収録作の中で比較的強い印象を残してくれましたが、この作品も全体的に展開が唐突で語りが足りていない感はあります。
ギャルモノのジャンルにストーリー性を求めている方はそう多くはないでしょうが、もうちょっと話に起伏とメリハリがあった方がエロにも魅力が増すのではないかと思います。
【黒ギャルさん主体のヒロイン陣】
おっさんが電車内で官能小説を読みながら対面に座った女子校生さんで色々と妄想する短編「キミはボクのオカズになった」と上述の短編「男の魅力」のみ、普通?の女子校生が登場しますが、その他の作品ではお肌をこんがりと焼いた黒ギャルさん達がヒロイン(←参照 短編「スリムなウエスト」より)。基本的に、自分の目的のために他者を巻き込むことを躊躇しない自分勝手な性格で、かつ性行為への抵抗感に乏しい類型的な存在として黒ギャルさん達を描いており、特段にキャッチーな要素や人物像における深みは無いものの、分かり易いキャラ造形がイージーゴーイングなシナリオとよくマッチしています。
普通に学校の制服を着ていたり、バイトでメイド喫茶の制服を着ていたりと、衣装関連は意外に地味であり、ギャル文化に特有の華美な服装を楽しめないのは個人的には少し残念です。
90年代後半からのデジタル作画の導入において先頭集団にいた作家さんであり、描線がすっきりと整理されたキャッチーな絵柄は女の子の可愛らしさをよく抽出しており、エロ漫画業界の絵のレベルが格段に上がった現在でも十分に魅力的。
ただ、黒ギャルモノという作風に合わせてか、以前と絵柄を大きく変更している作品も半数程度存在しており(←参照 一例 短編「運勢あげあげ」より)、ギャル達の強気さや生意気さの印象をしっかりと強めていますが、個人的には以前の絵柄との齟齬を少なからず感じてしまいました。形の良い乳房と小さめの乳首や適度な肉付きの体幹など、ギャルという設定や絵柄の変化を除けば、ボディデザインはかなり訴求層の広いタイプです。
【物足りなさの残るエロシーン】
ページ数の関係で濡れ場の尺があまり長くないことに加え、エロ描写に力強さや濃さが不足しており、抜きツールとしてはかなり物足りない感があります。
マーク無しでの仕事の期間が長かったためか、性器描写をほとんど用いないエロ作画を行っており、官能に悶える女体には十分な煽情性があるものの、ヒロインの表情や台詞、各種擬音などによる演出に抑揚がなく、シナリオ同様に上滑りな印象が強くあるのは大きな減点材料。
着衣エッチの頻度が高く、露わになる野性的な褐色肌やもちもちとした乳尻太股はエロ的な魅力を何とか下支え(←参照 短編「図書室はお静かに!!」より)。抽送シーンの短さに加え、おそらく今単行本の最大の難点とも言えるのが、性器結合を伴うセックス描写が存在しない作品が目立つことであり、前戯のみ、フェラのみで終了するケースがあることには注意が必要。
個人的には、作中に必ず性器結合の描写を入れなければいけないという業界の暗黙のルールには全面的には賛成できないのですが、短編「mix up」を除けばシナリオ上の必然性が特になく、同時にパイズリや羞恥プレイといった特定の行為への特化がない状態でのピストン運動の排除は抜き物件として致命的なマイナス要因となり得ます。
やや尻切れトンボ気味なフィニッシュシーンにもカタルシスが不足しており、エロシーンに関しては黄色い楕円のマークが付いていることを疑いたくなる水準なのは非常に残念です。
久しぶりのマーク付き単行本ということもあってか、エロ・シナリオ共に猛烈に食い足りなさが残りますが、今後バリバリ作品を描いて英知出版の元エースの実力を取り戻して頂きたいものです。
個人的には、なかなかキュートな黒ギャルさんがインチキヨガ講師にエロエロな指導をされてしまう短編「スリムなウエスト」が一番好きですね。
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