あんみつ草『ぐりーん・あぽー』
HG茶川先生の『ちちカノ』を読みながら、「人の欲望の際限なさも凄いが、それにしっかり応えるエロ漫画も凄いなぁ」と思いました。 いつかレビュー書いてみたいです。
さて、今日はあんみつ草先生の『ぐりーん・あぽー』(久保書店)のレビューです。
ちょっと不思議でちょっとひねくれた、しかしてピュアで素敵なラブ話が満載の単行本となっています。
収録作は、未来を予知する能力を持つ地味っ子さん(←参照)と女たらしな先輩とのラブ・アフェアな「エコエコマーヤ」全5話+短編5作となっています。 1作あたり16Pが基本のページ数でありやや短い印象はありますが、揺れ動く心理描写がしっかりしているので読み応えは相応にあります。
上述の「エコエコマーヤ」に登場する予知能力少女や、星間戦争の最中捕虜になった地球人と宇宙人(♀)コンビを描く短編「激戦区の空の下」はファンタジー要素を含みますが、基本は等身大の少年少女とラブ話です。
とは言っても登場人物達は多かれ少なかれちょっと変わった人物像で描かれます。男女が互いの気持ちをストレートにぶつけ合ってラブラブイチャイチャに〜という分かりやすいシナリオ展開はほとんどありません。
「本当に恋愛感情があるの?」と思わせておいて実はしっかりラブラブな二人を描く短編「サトコイトケイ」、男性(兄)が妙に真剣な顔をするため「裏をかいて実はシリアス?」と思わせて結局どーしょもないコミカルオチな短編「ぐりーん・あぽー」など、こちらの予想を攪乱してくる少しひねくれた作風が特徴です。
半強要的な性行為や女性を性行為の対象としか見ていない様な(あくまで”様な”です)台詞が登場しますが、←のコマが象徴するようにあくまで描かれるのは愛し合い惹かれあう男女の愛の行為です。 どうにも自分の気持ちに素直になれない登場人物達ですが、最終的には誰一人として不幸にはならない優しい雰囲気が大変心地よいです。
地味で気弱な占い娘が百戦錬磨の女たらしに翻弄されながら、最終的にはハッピーに結ばれる「エコエコマーヤ」も好きですが、個人的には「へい!ブラザー」がお気に入り。
兄貴が素直な弟を騙くらかして、同級生の女の子(←参照)とHさせちゃうという一見とんでもない設定ですが、破天荒ながら何だかんだで弟想いの兄貴が素敵です。あと、素直な弟君も弟君にメロメロなヒロインも実にキュート。 絵柄に関しては、すっきりした細いラインでスタイリッシュに描く所謂”女流作家らしい”絵柄です。
エロ的な煽情性には欠けますが、守ってあげたくなるような儚さと内に秘めた芯の強さが同居する少女が魅力的に描かれています。
なお、ヒロイン陣は全員ツルペタ〜ほんのり膨らんだ程度の胸ですので(←参照)、ヒンヌー教徒の皆様大喜び、巨乳原理主義者は大落胆となると予想されますので一応注意。体型的にもキャラ造形も地味めですが、そこがむしろイイ!という人は少なくないはず。 少ないページで心理描写・シナリオ展開に相応の分量を割いているため、エロのボリューム感は希薄。結構激しい性交が描かれますが実用性のみを目的とした購入は控えるべきでしょう。
何かもどかしくて、SF(すこしふしぎ)で、時に予想の斜め上を行って、でも暖かく幸せなラブ話が好きな人にお勧めです。尾野けいじ先生の『ラブでれ』が好きな人は是非どうぞ!
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