青木幹治『さよなら、おっぱい』
アニメ版大正野球娘の第6話「球は広野を飛び回る」を見ました。管理人の嫁であるたまちゃんが井端ばりの堅守ぶりを発揮しておりました。この娘はこれで打撃が良ければ完璧なんですが。それはともかく、原作の小説からキャラ造形や脚本を結構いじっていますなぁ。これはこれで展開が楽しみですし、三郎と小梅の微笑ましい恋愛模様が観れたら嬉しいなぁと思います。胡蝶×小梅も捨てがたいですが。
さて本日は、青木幹治先生の初単行本『さよなら、おっぱい』(コアマガジン)のへたレビューです。帯のキャッチコピー“YES貧乳!! NOロリータ!!”には笑わせてもらいました(元ネタは勿論コミックLOの“YESロリータ!! NOタッチ!!”)。
ぺたんこお胸な思春期ガールズとのちょっととぼけた、それでいてとっても甘酸っぱいラブストーリーが楽しめる作品集です。
収録作は、いつもクールな彼女さんとコスプレ趣味が露見してしまった主人公との風変わりな恋模様とコスプレHな日々な「節子さん」シリーズ全4作、および独立した短編7作。
1作当りのページ数は16〜20P(平均18P)と漫画ばんがいち掲載作らしいやや控えめの分量です。とは言え、ライトタッチの表層から染み出してくる話としての味わい深さがあり、エロの質・量ともに健闘しているため、読書感も読み応えも共に良好です。
【伸びやかな感情描写で魅せる青春ラブストーリー】
意中の幼馴染を振り向かせたいのに自身の低身長・貧乳がコンプレックスになってしまっている少女を描く短編「お姉ちゃんの手を取って」(←参照 全米が泣いた)などが代表的ですが、各収録作はちょっとした悩み事やトラブルを抱えながらも前向きに進もうとする少年少女の青春模様を伸びやかに描いています。引用したコマのようにユーモラスな要素を適度に交えているため、明るい雰囲気が作品を包んでいますが、ギャグの瞬発力で勝負するのでは決してなく、滑らかで穏やかにシナリオ全体がまとめられているのは◎。
若者らしい瑞々しい恋心や飾り気のない性欲こそがラブストーリーを牽引しており、青い衝動で身体を重ねるセックスは表現として快楽的でもありながら、若い身体の中にあふれ出る感情とエネルギーが相互に認証され、共有されることの喜びに満ちています。
それ故に、人を喰ったような珍妙なフレーズの応酬とシナリオ展開の中から、スッと飛び出してくる誠実な愛の言葉や素直な感情表現に大変強い魅力があります(←参照 シリーズ第1話短編「しましま節子さん」より)。ばんがいち王道の少女向け漫画ベースのスタイルとも取れますが、全体的により洗練された印象があり、あらからさまな甘さを垂れ流すのではなく、静動のコントラストが施されたシナリオにおいて、背景にある豊かな叙情を読み手にしっかり味わせる手腕が見事。
胡乱な例えで申し訳ないですが、コアマガジン系の作家さんを引き合いに出せば、ED先生の繊細さと美しさ、および小林王桂先生の茶目っ気と親しみやすさを併せ持ったスタイルと個人的には感じます。
【貧乳スレンダーな思春期ガールズ】
短編「お姉ちゃんの手を取って」のヒロイン・ゆみ姉ちゃんとは真逆に、ぼよんぼよんの巨乳がコンプレックスな短編「ブリリアントおっぱいシェイド」のヒロイン・水原さんといったキャラもいますが、貧〜並乳クラスの女子高生・女子大生がメイン。
水原さんに加え、適度に大きいお胸(巨乳の下限クラス)をお持ちのヒロインもそれなりの割合で存在していますが、エロ漫画業界では比較的少ない非ロリの貧乳キャラが多めのは属性持ちには嬉しいところ。最古作(投稿作品)である短編「ぺたり」の時点で貧乳ヒロインのキャラ造形はしっかり固まっていたようです。
恋にエッチに色々な方向性で暴走してしまうヒロインさんが多く、そのユニークなキャラ造形が作品のコミカルさを支えています。
堅物少女や阿呆な元気娘、ちょっとストーカー気質な不思議ちゃんなど多彩なキャラ造形も魅力ですが、シリーズ作のメインキャラであり、アンニョイな言動と表情が素敵な無表情クール娘・節子さんの魅力がずば抜けて光っています(←参照 シリーズ第3話「性的節子さん」より)。初単行本にしては絵柄はかなり安定しており、シャープな描線を駆使した端整な絵柄が親しみ易さと女性らしいナチュラルな華やかさを生み出しています。
視点を引いた構図をグッと印象的に描ける作画力も高く評価したいところです。
【穏やかな雰囲気を維持しつつ十分ハードな性描写】
シナリオやラブい雰囲気重視でややエロは軽めなばんがいち勢の中では、抜き物件としての踏み込みも強い方であり、濃厚さには欠けるもののアグレッシブに駆け抜けるセックス描写はなかなかの見所。
ページ数の都合もあってか1回戦をじっくりと描くエロ展開が多く、フェラや素股などで互いの興奮を高めてから優しく挿入し、その後はリミッターが外れたかのように両者が腰を振りまくるオーソドックスな流れには一定の力強さがあります。特にシリーズ作の節子さんのパワフル&テクニカルな腰使いはエロティックですね。
コスプレHが主体となる節子さんシリーズを含め、着衣Hの頻度が高く、セックスシーンにおいても(特に上半身の)肌の露出が少ないことには評価が分かれるかもしれません(←参照 シリーズ第4話「兎の節子さん」より)。視覚的に過剰にならない程度に投入してくる性器結合部の描写や幸せそうなハートマーク付きのエロ台詞・嬌声などによって脇を固めるエロ演出の安定感も良好。やや陶酔の表情に硬さが残っている感があり、ハードコア感を増強しようとして取り込んでいる派手なイキ顔に関しては、作品のいい意味で地味な雰囲気とマッチしていない感が個人的には多少あります。
フィニッシュに関しては中出し・外出しが1対1の分量(短編「ピンクの密室」はアナル中出しでフィニッシュ)ですので、中出し原理主義な貴兄にはマイナス要因でしょうが、個人的には両方楽しめてプラス要因。
薄っすらと陰毛の生える女性器描写は比較的シンプルなデフォルメ系で、水準として低くはないですが、そこに直接的な煽情性を強く期待するのは避けるべきでしょう。
帯に“エロ漫画界の期待の新星(かもしれない)”とありますが、管理人は結構真剣に期待の新星だと思っています。まだ作劇・作画に粗い面はありますが、センスの良さとポテンシャルの高さは十分に伺える処女作だったと言えるでしょう。
全作気に入っていますが、特に挙げるのならば、ヒロインのキャラクター勝ちな「節子さん」シリーズと序盤の軽妙さとオチの爽快さが見事な短編「ブリリアントおっぱいシェイド」ですかね。
管理人は今単行本を強くお勧めしますよ!
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