堀博昭『昇天彼女』
7月からの新アニメも楽しみですし、エヴァの劇場版も早い所見に行きたいなぁと思っているのですが、現在結構楽しみにしているのが今夏公開予定の劇場アニメ「サマーウォーズ」。大家族を扱った劇場アニメというのはなかなかユニークな感がありますし、何より「時をかける少女」の細田監督の作品という点に興味を引かれますね。
さて本日は、堀博昭先生の『昇天彼女』(クロエ出版)のへたレビューです。前単行本『僕の愛玩具』(クロエ出版)のへたレビューもよろしければご参照下さい。
卑語猥語満載のエロ台詞の洪水に彩られた陶酔空間で快楽に身も心も溶かされる美女の痴態を楽しめる作品集です。
収録作は、過剰なコアガズム(coregasm)体質で何かと感じてしまう妹と不感症故に鉄の処女を貫いていた姉のそれぞれの愛欲の日々を明るく描くタイトル中編「昇天彼女」全4話(←参照 姉妹お揃いで仲良く?4P 中編第4話「婚ばーてぃぶる」より)+幕間を描くフルカラー掌編(8P)、高校時代に性的関係にあった女性とその弟に夫婦の仲を破壊される美人奥様を描く中編「もうなにも要らない」前中後編、および短編「G・wife」。なお、毎巻恒例のカバー裏の登場人物紹介は、先生のとぼけたユーモアが楽しめますので是非一読を。
フルカラー掌編を除き1話・作当りのページ数は24Por26P(平均25P弱)としっかりとしたボリューム。各作品は官能渦巻くエロシーンこそを存分に描く構成であり、今回も抜き物件として実に頼もしい1冊です。
【明るい快楽肯定タイプとドス暗い快楽耽溺タイプの作劇】
中編「昇天彼女」は互いに性質は真逆でありながら抱えている性の悩みを、パートナーとなった男性との濃厚なセックスによって解消するストーリーであり、“ご主人しゃま専用子袋”“肉便器”“雌豚”といった不穏なワードが終盤で(ヒロイン側から)連発されるものの、明瞭な快楽肯定系のシナリオとなっています。
不感症気味なせいでセックスレスな義姉の性感開発を主人公が手伝ってエッチになだれ込む短編「G・wife」も同系統の作品であり、一応寝取りモノではありますが、“寝取り”の成否に含みを持たせるラストで、陰惨な方向にはあまり持っていかない構成も中編「昇天彼女」と共通しています。
エロは特濃ながらも比較的心理的負荷の少ないこの2作に対し、中編「もうなにも要らない」は登場人物の暗い過去とドロドロとした愛憎が渦巻くダーク&インモラル系で、なかなか重みのある読書感になっています。
他人の妻となった女性に執着し、その家庭を性の快楽によって崩壊させようとする歪んだ性癖の女性が(←参照 「もうなにも要らない」前編より)、自身もまた麻薬的な快楽によって逆襲され、共に堕ちていくという鋭い切り返しを効かせた構図は見事。従順な下僕と思っていた弟とペット扱いしていた人妻のよる狂気の愛情表現に対し、性の快楽への恐怖と嫌悪を剥きだしにして罵声を上げ続ける女性が、終に圧倒的な性感に陥落する瞬間をズバッと読み手に投げ込んでくる中盤展開も実に痛快です。
全体的にお話の設定、特に物語冒頭における現状に至った過程に関して説明不足な感が強く、かつシナリオパートの分量も少なめではありますが、超越的な性の快楽とそれへの陶酔によってシナリオを紡ぐタイプであり、話の明暗を問わず最後まで読み手を引き付けるパワーのある作劇と言えるでしょう。
【大人の色香満載な美人ヒロインズ】
各作品に登場するヒロインは、中編「昇天彼女」の多感症な妹さんが女子高生さんであるのを除き、若奥様や(元)キャリアウーマン、保険医だったりな20代半ばクラスの美人さん達。
ローティーンクラスのロリータ美少女を描いても十二分に上手い作家さんですが、このフェロモン満載の絵柄は妙齢の女性を描いてこそ映えるタイプで、今単行本のヒロインの布陣は個人的に正に福音です。
萌え系の可愛らしさはあまりないですが、清楚な外見から匂いたつアダルトな色香は絶品で、その端正な表情が快楽に染め上げられる様は実にエロティック(←参照 短編「G・wife」より)。中編「もうなにも要らない」のお姉さまのみ並乳クラスですが、その他のヒロインは表紙絵通りに重量感たっぷりの巨乳と強い存在感のあるヒップをお持ちで、出るべきとこは出て引っ込むべきところは引っ込んだモデル体型なボディデザインになっています。
アダルトな色香を演出する網タイツやボンテージ、中編「昇天彼女」の妹さんには瑞々しい柔肌にぴったり張り付くブルマ体操服など、エロ用コスチュームの的確なチョイスも冴えています。
個人的には、大人の余裕と優しさの中に垣間見れる素直な感情がこの年齢(26)ならではの可愛らしさにつながっている中編「昇天彼女」の姉の方こと、“鉄の処女”美衣奈先生にぞっこんラブ。
【濃密なエロ演出と畳み掛けるエロ展開で魅せる陶酔空間】
上述の様にエロシーンの尺は十分に取られており、かつその味付けも濃厚であるため抜き物件として非常に強力。
裏帯の訴求文に“総イキ回数100オーバー!?”という素敵に阿呆な(誉めてます)売り文句がある通り、エロシーンにおいてはヒロインは最初から最後まで一度も止まらぬ絶頂を味わい続けます(←参照 双頭バイブでレズプレイ中 中編「もうなにも要らない」後編より)。このヒロインの痴態と息を合わせるかのように、エロ展開自体も最初から全力疾走しており、濡れ場冒頭から投入されるねちっこい前戯や豊富なエロアイテム、羞恥系の変態プレイなどで押しまくります。
読みのリズム感度外視の白痴系エロ台詞でコマを埋め尽くす手法といい、一般的なエロ展開における“タメ”に乏しいスタイルですが、終始一貫したその猛烈な勢いで読み手の思考力を麻痺させるため、実用的読書の没入度は高め。
特に中編「もうなにも要らない」のラストエピソードのエロ展開は凄まじいの一言で、美人ヒロイン2名によるオネダリ→ダブルパイズリ→双頭バイブでレズプレイ→2人の体を重ねて交互に挿入→首を締め合って窒息プレイ→危険日な2人に種付け射精という怒涛の展開には痺れました。
そこそこ濃い目の茂みが広がる秘所の描写の質も高く、結合部描写等もバランスよく絡めますが、成年マークなしエロ漫画でも活躍するだけあって性器表現のみに頼らず、緊張感のある肢体描写とトロトロに蕩けたエロ表情でしっかり煽情性を構築するエロ作画になっているのも◎。複数ヒロインの痴態をシンメトリカルに見せるポージングやコマ割りも見事。
多回戦がメインであり、中出し・ぶっかけ・アナル射精とフィニッシュシーンにバラエティがあるのも個人的には嬉しいところです。
とまぁ、申し分ないほど強力な抜きツールであり、抜き所の多さもあって長期にわたって実用的読書のお供になってくれそうな分、コストパフォーマンスも高いと言えるでしょう。
相変わらずなエロの強力さも非常に嬉しいのですが、特にダークな方向へときっちり踏み込めるようになった点で、作劇のコンストラクションの確かさが増しているのことが個人的には非常に高評価につながっています。
ダーク寄りの作品もOKという方には強くお勧めしますよ!
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