春城秋介『ビーナスラプソディ』
雪が降ったら降ったで色々と困るのですが、降るよと言われて降らないとちょっと寂しいですなぁ。雨も関東平野には久しぶりのお湿りでありがたいですが。子供じみていますが、誰も踏んでいない新雪をサクサクと踏んで足跡を付けるのが未だに大好きなんですよ。
さて本日は、春城秋介先生の『ビーナスラプソディ』(ティーアイネット)のへたレビューです。実は購入予定になかったのですが、個人的にレビュアとして全幅の信頼を寄せるgosplan大兄の評価が高かったので遅延購入となりました。
登場人物の感情を優しく描き出す実直な恋愛劇において、恋心故に激しくなるエロをたっぷりと魅せる作品集です。
収録作は、主人公の少年が長年憧れていた友人の母親にふとしたキッカケで告白をして結ばれる連作「密戯」「二人の密戯」(←参照 清楚で美人な熟女さん 「密戯」より)、および短編5作。加えて巻末とカバー裏に短編「ホームレッスン」の後日談を描くおまけ漫画(計3P)があります。1話・作当りのページ数は24〜32P(平均28P強)とムジンコミックスらしいしっかりとしたボリューム。エロの分量は勿論しっかりと確保してありますし、そのエロシーンの魅力を下支えするシナリオ展開にも安定感があって適度な読み応えを有している印象です。
【男女の率直な感情が魅力な恋愛模様】
熟女さんと若い男との年の差カップルだったり(「密戯」シリーズと短編「旅情恋慕」)兄妹同士の近親愛だったり(短編「ブラ☆コン」)、家庭教師の青年と教え子の女の子だったり(短編「ホームレッスン」)と組み合わせは様々ですが、男女の恋物語を落ち着いた雰囲気の中で描き出す作風が共通しています。
ストーリー的な新味には乏しい感もありますが、話運びには安定感があり、場違いなコメディで話を浮つかせることもなく、過度のシリアス成分で雰囲気を重くすることもない穏やかな雰囲気のラブストーリーは嫌味のない読書感を生みだしていると思います。
また、熟女モノや兄妹近親系でしばしば見られる若い男性のエネルギッシュな性でごり押し気味に話を押し進めるパワープレイをほとんど行わず、双方が共に歩み合って心も体も結ばれる流れや率直な感情描写で適度にドラマを演出する手法もなかなか好感を持てます(←参照 感情を整理する前に抱きとめる男性が素敵 短編「ずっとあなたが好きだから」より)。全般的に話の展開としてはかなり地味な部類だとは思いますが、そのありふれた日常としての描写があるために、その中からふっと出現する非日常としての恋とエロに魅力が増しているのも確かかなと思いますよ。
なお、熟女モノや兄妹近親系としての背徳感の構築はほとんど為されておらず、設定的にも既往のTI系の作品群の流れからしても介入して不思議ではない、タブーに対するアンビバレンツな感情の葛藤や退廃的な雰囲気は無いに等しいです。設定から想起出来るほの暗い倒錯のエロスをお求めですと結構肩透かしになるので要注意。
勿論、全作誰一人も不幸にならずめでたくカップルになった二人の笑顔を描くハッピーエンドで閉める構成です。
【男性の心身を包み込む柔らかボディなヒロイン陣】
ヒロイン陣は短編「Anywhere」の女子大生さんの他はハイティーン美少女か推定40前後の熟女さんかで調度二分。
こう書くと熟女キャラはちょっと・・・と敬遠される方もおられるでしょうが、体型や顔の造作に関してさほど年齢を意識させるような描き方をしておらず、ハイティーン少女とほとんど差別化していません。
このため訴求層はある程度広がっているとは思いますが、同時に熟女キャラの崩れかけの女体の妖しげな艶にこそエロスを感じる方には結構なマイナス点であることには留意して下さい。
体型的にはその存在をしっかり主張するたっぷり巨乳&むっちりお尻を備える豊満バディであり(←参照 短編「ずっとあなたが好きだから」より)、若い男性の滾る性欲を優しくかつ積極的に包み込んでくれます。女性器描写に関してはTI伝統のリアル系ですが、臭みもないが同時に淫靡さも足りない感があり、直接的な興奮刺激剤としてはやや力不足。個人的には熟女ヒロインと乙女なヒロインとで秘所を描き分けていないのもちょっとマイナス評価です。
なお、ヒロインのキャラ立てに関しては、決して華やかさはないものの、エロシーン時も含めて、自身の性と恋心に戸惑う感情表現をモノローグによって丁寧に説明出来ている分、読み手が親しみ易く描かれているように思います。
【熱量たっぷりの純愛エッチ】
エロシーンに関しては、たっぷり・激しく・ねっとりの3拍子そろったTIらしいエロ作画・エロ作劇を基調としつつ、恋愛系シナリオの雰囲気の温かさを保ち続ける実直な愛の営みを描いています。
中サイズでシンプルな四角ゴマのみでほぼページが構成されていることもあり、各動作のリズム感がイマイチで、エロをフラッシーに見せる力量には多少疑問符が付きます。とは言え、若い男性の力強い攻めを量感豊かな下半身(特にお尻)や張りのあるたっぷりおっぱいでやさしく受け止める各コマの絵は、支配欲よりも保護願望を充足させる感があります。
着衣エッチが半分以上を占めるため、熱く火照る肌と肌との重ね合いをお望みですとちょっと残念でしょうが、女性に包まれる抱擁感を味わいたいならば十分期待に応えてくれるであろう作品です。
また、これもシナリオの作風とマッチしているのですが、所謂“アへ顔”のような派手で迫力のある表情変化は抑えられており、性感にトロンと潤む目、熱っぽく紅潮する頬、穏やかな喘ぎ声と愛の言葉を呟く小さく開かれた口など、表現としては地味ながら女性の色気が強く香り立つ表情の描き方は非常に魅力的。
特に、艶やかな唇と“何か”を期待して濡れる瞳が官能的なフェラシーンでこの良さが輝いているように個人的には思います(←参照 「二人の密戯」より)。あくまで恋愛エッチですので、セックスシーンをたっぷりのボリュームでしっかりと組み立ててありますが、概ねフェラと前穴挿入のみで構成しており、特殊なプレイやエロ要素はほとんどないことには注意が必要。エロ的にはやや一本調子なのは確かでしょう。
フィニッシュは中出しオンリーで構成されており、大股開き・性器も最奥まで丸見えの構図でたっぷり白濁液を注入する様を1P〜見開きで描くスタイルはコアマガ系のそれに近い印象。
あと、性感に反応してキュッち締まるアナルが結構存在を主張しているのも特徴かなと。アナル挿入は無いんですけどね。
キャラ造形・恋愛ドラマ・エロの全てに関して分かり易い派手さは無いものの、しっとりとした落ち着きを備える力強さが感じ取れ、読書感・使用感の気持ち良い抜き物件という感想です。
個人的には“オバサン”が若者のエネルギッシュさに眠っていた性欲を美しく開花させる「密戯」シリーズが最愛。成程、大兄の言う通りに次回作も大変楽しみな作家様です。
コメント
コメントの投稿



