小林王桂『ネイキッド☆ガール』
1日あたりレビュー1〜2本が僕の能力では限界なもので、好きな作品がドバッと発売されるとレビューを書いて掲載する順番に悩みます。今回ご紹介する単行本ももっと早くレビューを書きたかったんですけどねぇ。精進が足りません。
というわけで今回は、小林王桂先生の『ネイキッド☆ガール』(コアマガジン)のへたレビューです。前単行本でメロメロになった作家様なので心待ちにしておりました。
素敵な恋とエッチをその小さな体で精一杯受け止めて、それを糧に希望に満ちた明日へ走り出す少女達がとってもラブリーな作品集ですよ!
収録作は、天才だけどちょっとアホ娘な超常現象研究会の部長・灰島さんとその手下(部員)の安田君、超常研の宿敵となる生徒会長の橋さんのドタバタエロコメディな「灰島部長」シリーズ全3話(←参照 イェイ! 第1話「灰島部長のファーストコンタクト」より)+描き下ろしおまけ漫画「灰島部長最後の聖戦」(2P)、および短編7作。1話・作当りのページ数は短編「僕の禁煙月間」(16P)を除いて全て20Pと標準的な量。どの作品も非常にテンポ良く読ませるタイプなので、あっという間に読書が終わってしまうのが素晴らしく、もっと作品世界に浸っていたいなぁと強く思わせてくれます。
前単行本『天然素材少女』(コアマガジン 当ブログでは未レビュー)では、他のジャンルも混在していましたが今単行本では中○生クラスの少女達の恋とエッチを描く作品でほぼ統一されています。
天才だからなのか色々と超特急に暴走していく灰島部長と彼女を優しく見守りつつやっぱエロでは年頃男子らしく暴走する手下の安田君が物凄く活き活きとしている「灰島部長」シリーズを筆頭に、短編「お兄ちゃんのばか」や「中松姉弟の確執」などアッパーな要素満載のお馬鹿&キュートなラブコメディがメインとなっています。
女性側の幸せ欲求・快楽欲求で全てを駆動するタイプがラブコメ系で全盛の昨今において、お年頃な男子達にしっかりと存在感があるのは個人的には◎であり、男性側の行動や台詞に対して逐一ヴィビットなリアクションをするヒロイン達の魅力を相乗効果的に高め合っています。
ギャグ漫画チックな表現も多用しつつ(←参照 短編「中松姉弟の確執」より)、拗ねたり怒ったり恥ずかしがったり、そして最高に素敵な微笑みを見せてくれる多彩な表情変化は屈折した部分がまるでない瑞々しい少女達の感情を微笑ましく描き出せています。お馬鹿キャラ達が率直な“生”の欲望で駆け抜けるコミカルエロ作品群は、いかにも頭悪そうな馬鹿馬鹿しさを装いつつも、台詞・モノローグでリリシズムを嫌みなく絡めてくる手法が実に技巧的でかつ緻密です。
この優れた漫画センスが存分に活用されているのが、前単行本同様にコミカルタイプの作品群から痛み成分を携えて突如ズバッと切り込んでくるシリアス系短編「旬感オートマータ」。
この短編では、瑞々しい肢体も小動物系の大人しい性格も人間の少女のソレを模したセクサロイドが登場し、そのいじましさすら主人の青年を喜ばせてたっぷりと嬲られます。
彼女の人工知能は青年への恭順をベースに一個の人格へと成長しようとするのですが、男性は初々しい反応を持続させるためその度に彼女を“初期化・再起動”します(←参照 短編「旬感オートマータ」より)。永遠の少女をその人格を踏みにじって無限に消費するというモチーフやコミカル系ではギャグで保護されていた男性性の加虐性をむき出しにする作風の強烈な禍々しさには目を見張るものがあり、それまでの可愛らしい少女達と戯れるコミカル系の底抜けに明るい読み味を根底からひっくり返す程のポテンシャルを持つ図太い攻撃性には心底シビれました。
以前も何かのレビューで書きましたが喜劇が本質的に残酷であることを考えれば妥当とも言える配置ですが、後味の悪さは実に極上ですので痛い成分が苦手な貴兄は要注意です。
上述の通りにヒロイン陣は思春期真っ盛りの女の子達であり、その子供らしさと大人としての人格の胎動が同居する感情と同様、思春期の少女の肢体を割合写実的に描いています。
たっぷりおっぱいをお持ちの「灰島部長」シリーズの女生徒会長さんを除けば、ぺたんこ〜膨らみかけクラスの胸やツルツルな股間などロリ要素は強め。ただし、ロリプニ色はかなり薄く、脂肪が付き切っていない細めの体幹にはうっすら鎖骨や肋骨が浮かび上がって独特の背徳感を醸し出しているのが個人的には大好きです。賛否が分かれそうですが皮膚や筋肉の描写も丁寧です。
日常シーンでのヒロイン達の可愛らしさは大変魅力的ですが、絵柄自体は最先端の萌え系では決してなく、リアルを持ち込む故の独特のクセがあるのは事実。でもそこが素敵なんですよ。
“優しくサディスティック”とも言うべきコミカル系として絶妙なバランス感覚のあるエロの攻撃性がキレキレなセックスシーンでは、この絵柄がばっちり適合しており、快楽に悶え、叫び、涙や涎で顔を濡らす痴態を思い切りよく描けているのが非常に好感が持てます(←参照 短編「お兄ちゃんのばか」より)。効果線を多用することでイマラチオ気味のフェラや性器同士をガツガツぶつけ合うピストン運動の激しさを強調しており、やや平和な空気が損なわれるものの抜きの視点からむしろ好適です。
生々しさのある口腔粘膜の描写やトロトロの蜜を零して花開くスージーさんの描写はある程度の生々しさがあって魅力ですが、後者に関しては修正キツメでちょっとゲンナリ。余談ですがおしっこ要素が時々絡むのが個人的にいい感じですが、そこまで分量はないので聖水スキーな貴兄は熟考されたし。
また、男性側の静かなモノローグが沁みる短編「僕の禁煙月間」は絵柄的には結構古めなので一応注意。
あと、白濁液噴出の中出しな性器結合ドアップのフィニッシュシーンは実にコアマガ系らしい分かり易さがありますが、この先生の魅力はむしろ肢体の全体描写にあると思っている僕にはちょっとマイナス評価です。
世間的には東山翔先生の新刊(購入済み 近日中にレビュー予定)に注目が行ってそうで、やや出版のタイミングが悪かった感はありますが、ガチロリではなく大人への階段を少しずつ昇ってゆく少女達の瑞々しい感情と肢体こそを味わいたい貴兄にはむしろこちらを個人的に大プッシュ。
個人的には2008年下半期ベスト10に入ってきそうな傑作だと思っています。太鼓判を捺してお勧め!
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