渚ミナミ『ぶっかけミルクプリン』
ここ数日の朝晩の寒さのせいか、植木達にあまり元気がなくてオロオロしております。雲南黄梅とか猿梨とかは元気なんですが…。まぁ、地上部が枯れても平気な種類も多いのですが、やっぱり見た目的に心配を煽ります(泣。
さて本日は、渚ミナミ先生の祝・初単行本『ぶっかけミルクプリン』(オークス)のへたレビューです。コミックXOで連載中の「あまえんぼっ」が好きなので購入決定しておりました。
エロにしてもシナリオにしても初単行本らしい硬さがあってあまり高い評価は出来ませんが、はっちゃけエロコメ系もシリアス系も光り輝く才能の萌芽を初単行本にして魅せ付けている作品集でもあります。
収録作は、風邪で倒れた娘の代わりにキュートなママンがセーラー服を着て初デートに臨むお馬鹿エロコメの短編「セーラー服とママとボイン」(←参照 それは絶対幻聴です!)+その後日談でタイトルが全てを語ってくれる描き下ろし短編「ブルマとママとボイン」(8P)、および独立した短編8作。短編8作のうち、4作はアダルトゲームのアンソロジー作品なのでオリジナル作品以外を受け付けない方は要注意。オリジナル作品こそを愛する管理人は全部アンソロという構成は受け付けないのですが、半分くらいなら全然OKです。
描き下ろし作品を除き、1作当りのページ数は16〜24P(平均20P弱)と中の下クラスのボリューム。
作風については、魅惑の巨乳をお持ちの未亡人さんや保険医さん(←参照 服の上からでもぷっくり乳首を見せるのが渚先生の特徴 短編「あの手の温もりを」より)が年下の男の子を美味しく頂いちゃうエッチ&コミカル系、各アンソロ作や短編「夢みる玩具OL」などのインモラル&ダーク系に大別されます。前者に関しては、やや上滑り気味なコメディの構築とタメに乏しいエロシーンへの駆け込みが難ではありますが、いい意味で年齢不相応な可愛らしさとエロエロな快感を追い求める能天気さを持つ年上ヒロインを魅力的に描けているのが大きな救いになっています。ちょっと台詞回しが硬いのは改善の余地アリかなぁとも思いますが。
一方、後者のインモラル系は、アンソロジー作品の短編「ミルクがとまらない」「高嶺の花堕つ・・・」のような即物的で捻りに乏しいタイプもありますが、主婦の傍らAV女優として活躍する母親の底抜けの明るさと、その事実に気付いて禁忌の欲望の底なし沼に嵌っていく息子の様子の対比が面白い短編「Mama, I want to cream!」のように作劇でもエロを高めようとする姿勢が窺える作品があるのは好印象です。
ただ、何者かに脅迫されて社内の性処理係をしているOLさんを描く「夢みる玩具OL」では、脅されている割にはあまり抵抗感なくOLさんがエロ行為に励んでいるように見えたり、OLさんを絡め取る罠がかなり肩透かし気味だったりと、インモラル&ダーク系に必要な粘っこさや説得力を伴った攻撃性は相当不足している印象です。
とは言え、現在連載中の「あまえんぼっ」のように、シリアスさに重点を置く切ないラブエピソードこそ今の渚先生の真骨頂であり、それが色濃く発揮されているのが短編「還らぬホタル」です。
この短編では、人生に行き詰まり田舎の公園で管理スタッフをやりつつ公園でセックスする男女の盗撮映像で小銭を稼ぐ男性と、水商売に身をやつした男性の高校時代の元彼女との最悪の形での再開を描き、互いに人生の底で無気力に喘ぐ鬱々とした重い空気を漂わせています。
肉体のつながりで心の穴を埋めようとも決してそれは叶わない悲しいセックスを描きつつ、ご都合主義に逃げることを欠片もしなかった故に実直でリアルに溢れるラストは読者の祝福を呼び込む希望の光に満ちています。
XO11月号での素晴らしい抱擁シーンでご存じの方も多いでしょうが、序盤では悲しみと陰鬱の表現としての雨が、セックスシーンでは互いの鬱積した穢れと悲しみの涙を流し去る舞台装置のように変化すること(←参照 短編「還らぬホタル」より)、終盤で見せる生気に満ちた夏の青空と男性の前に広がる大海を描くことなど、情景の表現のセンスはずば抜けたものがあります。収録作中ではちょっと古めの作品なのですが、切ない系ややさぐれ青春系の作品が好きならば、このためだけに今単行本を買っても損はないのではないかと個人的には思います。そのぐらいお気に入りの短編です。
ただ、今単行本最大の弱点は抜き物件として作ろうという方向性はしっかり感じ取れるのに、どうにも実用読書的には力不足が否めない所。
実にエロい先端を備えるたわわなおっぱいを標準装備な年上ヒロイン(未亡人(母)、女教師、保険医、OLなど)という、個人的にはかなり好きなジャンルであり、キャラデザはエロ的に非常に美味しいと思います。
勢いよく飛び散る液汁の派手な描写、目端の涙滴と肌の紅潮で表現する淫靡な表情、その存在を主張するかの様にいやらしく勃起する乳首などなどエロシーンを彩る各要素も結構魅力的。
ただ、シリアスにしてもコメディにしても“エロシーン”はともかく、男性の欲情を喚起するためのシーンの分量が小さく、阿呆なコミカル展開(←参照 面白いけど淫らではない一例 短編「セーラー服とママとボイン」より)やシリアス展開の一部として機能している割合が高いため、エロのボリューム感に欠けるのが実用性を損なっている一因でしょう。「Mama, I want to cream!」などでは、しっかり成功していたものの、全般的に大ゴマや1Pぶち抜きに頼り過ぎていてエロのコマ展開に締まりが弱いのもマイナス要因。
加えて日常パートでは比較的上手く回していた台詞がエロシーンではやや噛み合っておらず、かといって卑語猥語系の突き抜けた派手さもないので、どうにも煩悩の火付け役としては力不足です。
“お色気”としては十分上質ですが、抜き物件としては・・・というのが率直な感想。
全般的にエロ漫画としてのセンスは確かなものがあり、これで抜きへの踏み込みが強くなれば全ての作品の評価が確実にもうニ段階は上がるのに勿体ないなぁと心底思っています。
個人的には物凄く応援しておりますので、清楚な外見に未だ燃え盛る性愛を宿す小百合さん(40歳オーバー?むしろ萌えますよ、僕は)の痴態とさらに磨かれた情景描写が読めるであろう次単行本を楽しみにしています。
コメント
コメントの投稿



