幾夜大黒堂『憂いの花嫁秘密の誓い』
LO掲示板でおでこ関係が流行ってしましたが、デコといえば忘れていけないのはくどうひさし先生の短編「でこくり」ですな。にきびをいじくるというよくある事象をうまく盛り込んだ良作でした。そんなくどうひさし先生ももういないのかぁ(大道いむた先生?さてはて何のことやら)。
さて本日は幾夜大黒堂先生の『憂いの花嫁秘密の誓い』(ワニマガジン社)のへたレビューです。純白のウェディングドレスと淫らな痴態の組み合わせが○な表紙ですなぁ。
はっちゃけたエロコメからインモラル系まで手広いシナリオに彩られる享楽的なエロシーンが楽しめる作品集です。
収録作は、婚約者の上司が親友と密通しているのに気づいたOLさんが妬みとはまた別の感情を芽生えさせる中編「上司→親友→婚約者」シリーズ全3作+描き下ろしフルカラー掌編(4P)(←参照 婚約指輪 第1話「上司→親友→婚約者」より)、銀行員の女性が同僚の横領に気が付き上司に報告するもそこには淫らな罠が〜な連作「BanBangBank!」前後編、短編7作、および全作品のヒロイン達(と一部の野郎)が大集合なおまけ漫画(5P)。おまけ漫画やフルカラー描き下ろしを除き、1話・作当りのページ数は8〜18P(平均15P強)とやや物足りない分量。
中編作や連作ではメインヒロインの心情変化をちゃんと描いて話の説得力を高めていますが、短編作は作風にかかわらずサラッと流しているケースが多く読み応えや余韻を求めるタイプではあまりないという感想です。
愚鈍ながら真っ直ぐな男性の心が張り詰めたアイドルの心を癒す短編「年下×同級生×アイドル」(←参照 思い込みで勘違い(笑))や社交辞令と思いきや本当にキャバ嬢さんがエロ漫画家の元にアシに来る(というか同伴強制?)「おしかけ・アシスタント」などはいつもの楽しいエロ漫画ですが、今単行本では不倫や痴漢、凌辱などダーク系の作品の割合が高めです。中編「上司→親友→婚約者」シリーズ、連作「BanBangBank!」共に大人しく地味な感のある女性が不倫や凌辱という非日常に触れることで、それまでとは違う快楽に心身を染めて倒錯の世界に身を堕として行きます。特に前者の中編では、不倫の現場を見てしまった後、受付の制服という意外なキーアイテムを発火点として親友の女性への欲望を嫉妬以上に燃え盛らせる流れが上手く、話がしっかり締まっています。
とは言え、最もダーク色の強い連作「BanBangBank!」でさえ、淫らな性を開花させたヒロインが凌辱した男達すらその欲望に飲み込む“欲望の受け手”としての強さを見せるように、最終的な陰惨さや絶望感はかなり弱くなっています。容赦のない凌辱劇を期待するのはNGですが、ダーク&インモラル系を軽く楽しみたい方にはむしろ都合のいい構成と言えるでしょう。
ただし、故郷と昔馴染みの女性への郷愁的な思いと刹那的なセックスの快楽がすれ違う短編「戻りたいトコロ」の寂莫感はなかなかビターで、凌辱劇とはまた違う哀しさがあります。
飛び抜けたオリジナリティーこそあまり感じませんが、コメディにしてもインモラル系にしてもソツなくお話をまとめている感はあります。
ヒロイン陣は、交通センターの講師(←参照 僕は講習でおじさんしか見たこと無いです 短編「ひとりきりの違反者講習」より)、OLさん、キャバ嬢さん、バツイチさんなどほぼ成人女性クラスオンリー。一人19歳と年齢詐称しているアイドルさん(短編「年下×同級生×アイドル」)がいますが(笑。ティーン美少女達の内から発するナチュラルな色気とはまた違う、他人の(特に男の)視線を意識した装いや磨かれた表情によって形成されるアダルトな色香が表現できているのは◎。
絵柄的にはすっきりとした描線を持つスタイリッシュなアニメ/エロゲー絵柄でクセやアクはほとんどありません。ワニでの執筆ペースを考えると結構初出に幅がありそう(初出は未記載)ですが、絵柄にブレはほとんどなく高水準で安定しています。
キャラデザ的には、しなやかな等身高めボディに適度なマッスを持つ巨乳を備えた魅惑のボディ。なお、年齢を鑑みれば当然ですが、全ヒロインの股間には深い茂みが広がっているので苦手な方は要注意。
なお、最近幾夜先生がお得意(?)とされる女装青年(少年にあらず)も短編「女装専用車両」にて登場しますよ。
8Pしかない短編「モテモテ!パワーブレスレッド」は極端な例ですが、少なめのページ数でシナリオや状況説明に分量を割いている分、エロの量的な満足感はやや乏しい感があります。エロとシナリオの分量比をこのままにしてもっとページ数があればベターだったのですが・・。
しかしながら個々の作品におけるエロシーンの質は高く、積極的に性感を味わう美女さん達の痴態を魅せる抜き物件としてしっかり成立はしています。
(特に凌辱系において)激しいセックスを扇情的に描けており(←参照 短編「逆襲のアフター」より)、コマおよびページ単位でのエロの構図の良さが読者の目を惹き付けます。シナリオパートに比べエロシーンでは描き込みの密度がより高くなっており、涙と涎が濡らすヒロインの悦楽の表情やさりげなくエロの官能性をます華やかな衣装などによる視覚効果も大変魅力的です。
猫も杓子も生中出しという現状に管理人はちと食傷気味なのでむしろ嬉しいのですが、外出し率が高かったりゴムを付けていたりするケースもあるのはナカダシャーな貴兄には不満かもしれません。量的にはそこまで大量に出ませんが、女性の肢体に降りかかる白濁液の表現はなかなか淫らで良い感じです。
元々短編中心とは言え、作風の幅広さやページ数がかなり少ない短編があることがコマ切れ感を出してしまっていますが、どの作品もエロ漫画として楽しめることは間違いありません。
個人的には男性に馴染みがないことを逆手にとってドリーミーな展開をうまく導入した短編「女装専用車両」と上述の切ない系「戻りたいトコロ」、最後まで大人の余裕を失わないヒロインが魅力な短編「ひとりきりの違反者講習」が特にお気に入りです。
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