アーセナル『ニーソ少女で○○○』
岡本倫先生の『ノノノ』3巻(集英社)を読みました。それはともかくコウロギ可愛いよコウロギ、ほとんど出番なかったけど。
さて本日はアーセナル先生の初単行本『ニーソ少女で○○○』(富士美出版)のへたレビューです。表紙にやられて買ったのは内緒です。
作画・作劇共に課題を残していますが、お馬鹿さんと変態さん達が明るく駆け抜ける変わり種のラブコメが楽しめる作品集です。
収録作は、妹が自分の名前を叫びつつオナニーしている兄貴と遭遇というスタートを切る短編「いもうと妄想」(←参照)+そのお馬鹿な後日談の描き下ろし漫画「きょうだい妄想」(4P)、および短編10作。描き下ろし短編を除き、1作当りのページ数は16〜18Pと(富士実出版系では標準的ながら)あまり多くありません。フェティッシュな味付けがされていますが、シナリオ的にもエロシーンにも重みや濃さは乏しく、漫画としての読み応えがあまり強いタイプではない印象。
作風は登場人物達の勢いのある言動で駆け抜けるラブ・コメディがメインであり、シナリオ展開に関して特段捻った要素や強いオリジナリティーを感じることはなく、良くも悪くもベタに徹しているなという印象です。
登場人物達はミドル〜ハイティーンの若い男女で、兄妹、姉弟、先輩後輩、幼馴染同士とこれまたよくある設定なのですが、出てくる登場人物がどれも変わったキャラ造形をされているのが本作の大きな楽しみの一つ。
男女問わず変態願望の持ち主さんが沢山登場し(←参照 美人姉の理想男性像(笑) 短編「お姉ちゃんの大好きな」より)、他にも重度なブラコンのお姉さんや妙な思い込みで暴走をかましてくれるヒロインなどがコメディとしての楽しさを引き立てています。キャラクターによって形成されるこの明るい雰囲気が、ニオイ関係や近親相姦、Sっ気のある女性による責めなど精神的な負荷が強くなりがちなフェチ要素のアクを弱めています。それを軽快な読み心地になったと楽しめるか、ネタの尖鋭性が薄れて楽しめないと感じるかは貴兄のご嗜好とよく相談されたし。
また、初単行本ということもあってコメディを上手く見せる漫画的技法にまだ物足りなさを感じます。例えば、不意打ち気味に挿入してくる上述のお姉さんのビックリ男性理想像なんて、ページを捲ったら大ゴマでドーンと描いてあるくらいの思い切りの良さが是非欲しい所。
大人しい子が女王様タイプに大変身な性格変化モノの短編「たーんとらぶる」や何故か日本刀を携える美人先輩の意外過ぎる日本刀利用法が楽しい短編「先輩の秘密の××」など、面白くなる要素を作品に投入出来ているので、変に大人しい演出にせずもっとご自分の好きなように暴れて欲しいと思います。
喜怒哀楽を示す表情の表現力はまだ不足気味ですが、近作ほど漫画チックに表情変化を見せてキャラクターの魅力を高めようとする努力は感じられます。
『ニーソ少女で○○○』というタイトルに偽りなくヒロインさんのニーソックス着用率はかなり高く、艶やかに光る黒ニーソの扇情性はなかなかのもの。
ただし、短編「たーんとらぶる」(←参照)や短編「いもうと妄想」のようにSっ気のある女の子が登場する作品でこそニーソ着用のおみ足に踏まれたり足コキされたりの描写がありますが、その他の作品ではエロ行為にあまり絡んでこないのはちょっと残念です。なお、ヒロイン陣はスレンダー巨乳な女生徒さんオンリーであり、設定上制服の着用率がかなり高いのはセーラー服大好きっ漢には好アピール。エロシーンでは半〜全脱ぎ(でもニーソは脱がない)ですが半脱ぎ中心の中道主義といった印象です。
エロシーンは十分な量が確保されており、足コキ、フェラ、パイズリ等の女性側の前戯による1回目の射精や男性側による秘所への前戯にもある程度描写を割いてから抽挿シーンに移行する構成はオーソドックスですが手堅くまとめてきたなと素直に評価できます。
ただ、体の交わりを出そうとしっかり表現しようとする姿勢はしっかり伺え、力強さやエロティックさを表現できているシーンも多いのですが(←参照 勢いよく描けているコマ 短編「会長のウラオモテ」より)、セックスを扇情的に魅せる構図や動きの表現力はまだ不足気味と個人的には感じました。特にフェラなどのシーンにおける頭や舌といった体の一部分を動かす動作を上手く表現できておらず、体全体を動かす動作とうまくかみ合っていません。性器描写の水準の低さもこれに追い打ちをかけてしまっています。
この辺りは表情の表現同様、初単行本における硬さなので仕方ない面もあり、初単行本にしては決して低い水準ではないことは書き添えておきます。十分抜きに使えるレベルだけれども、もう一味ニ味が欲しいというのが率直な感想です。
ちょっぴり変わったヒロインを楽しく描き出し、そこを発火点にして勢いよくコメディとエロを進行させる手腕自体には光るものがあるので、あとは笑いと抜きをより効果的に高める方法論を身に付けて頂ければ最高だと思います。
今後どういった風に成長されるのか楽しみな作家様ですな。
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