世徒ゆうき『ストレッタ』
Sound Horizonの新譜『Moira』をBGMにしてこれを書いていますが、前作『Roman』よりさらに壮大で多彩な楽曲になっていますなぁ。メタラー的にグッとくるパートも増えた気もします。
さて本日は、“エロ漫画界の生ける伝説”の異名を持つティーアイネットの大看板作家、世徒ゆうき先生の『ストレッタ』(ティーアイネット)のへたレビューです。今年はホント凄い年です。
漫画としての高い構成力によって描かれる少年少女の青春ドラマと口淫関係の描写への強いコダワリが楽しめる作品集です。
収録作は、勉強が出来ず鬱積した日々を送る男子生徒とその男子を挑発する少女、少女と交際している男性教師の三者三様の思惑のロンドを見方を変えて連作で描く「僕は勉強ができない」A面・B面(←参照 男子生徒を挑発 「僕は勉強ができない」B面より)、体育倉庫で連日男の精を貪る妖怪じみた美少女とその見張り番の男子生徒の烈火の如く燃え盛る肉欲のぶつかり合いを描く「あるいはもののけ」前後編、および短編3作。描き下ろしとして今単行本と既刊の単行本に登場したヒロイン達(カップル達)の後日談を描く「あるいはもののけ姫」(11P)が加わります。
1作・話当りのページ数は22〜26P(平均23P強)と標準的なボリューム。
以前の単行本と世界設定を同じくしており、短編「MBJ-みずほさんち-」や「ベットのぬくもり」に登場するカップルさん達は過去作から引き続きの登場となります。あと、我らが(?)姫ちゃんもさらっと再登場しています(笑。
前作・前々作を読んでいるとより楽しめますが、話のつながりはほとんど存在しないので今作から読んでも特に問題はありません。
メガネ男性教師の相変わらずの駄目っぷりはともかく何の捻りもない少年少女の素敵なラブラブ模様を描く短編「ベットのぬくもり」に逆に吃驚しましたが、相変わらず活力に溢れた青春ドラマに不条理さやペーソス、大バカコメディなどを様々に添加する一筋縄でいかない作風です。
前作・前々作に含まれていた突発的な猟奇性は皆無になり、今作では誰も死にませんが(笑)、「僕は勉強ができない」では一見全てが丸く収まるかのような展開をA面で見せつつ、B面で何とも言えない寂しさを残すラストを真逆に示すという、読み手の意表を突くセンスは健在。
漫画的な構成力の高さを最も顕著に示すのが短編「一線」のラスト(←参照)。敢えてネタバレを避けますが、存在がほのめかされていた他者が突如物語に現れ、それまでの流れ全てをしっかり受けながらドラスティックに急転させた手腕は凄まじいの一言。テンション高いだけの台詞回しやギャグでなく、話の展開やネタの組み立てで笑いを取るコメディセンスも健在です。ただ、全体的にちょっと大人しくなったかなぁという印象も。勿論、より取っ付き易くなったとも言えます。
2冊目にてほぼ完成した絵柄は、それはそれで魅力でもあった漫画的な泥臭さをますます無くし、スタイリッシュさを増しています。
華美ながらも嫌味のない絵柄で描かれるコケットリィに満ちた美少女のどこか浮世離れした感じと、背景として丁寧に描かれた教室や体育倉庫が醸し出す日常性・生活感の対比が面白いところ(←参照 「あるいはもののけ」前編より)。絵柄のベースは同じに感じますが、やけに描線が丸くすっきりと変化した「一線」はちょっと絵の印象が異なります。これはこれで悪くないですが、ヒロインの色香や生命力、妖しさが張り詰めたバランス感覚で同居している独特の絵柄に魅力を感じているので、僕個人としてはちょっとマイナス評価です。
既往のファンには微妙に映るかもしれませんが、「一線」以外のほとんどの絵柄は1・2冊目の絵柄の正当進化のそれなのであまり気にする必要はないでしょう。
ヒロインさん達はハイティーン中心。スレンダーで均整のとれた美しい肢体の持ち主ですが、おっぱいは並乳さんのみで巨乳さんもペタンコさんもおりませんので、巨乳至上主義の貴兄もヒンヌー教徒の貴兄も回避推奨。というかエロシーンにおいておっぱいはあんまり活躍しません。
エロシーンのメインを張るのは、艶めかしく動き回る舌と生々しい口腔粘膜、そして派手な液汁描写で描かれる唾液と精液によって構成される口淫シーン。
ひょっとこフェラがあったり(←参照 白濁液の質感にもご注目あれ 「あるいはもののけ」後編より)、まさかの茹でたてパスタを口に含んでのフェラとかアイディアの豊富さも魅力です。積極的に男の精を吸い上げるヒロインさん達なので処女率はゼロという、ご嗜好によっては泣きたくなるキャラ設定。
ただ、適度に使い込ん故にはみ出た陰唇が妖しく濡れ、光り、蠢く描写の淫靡さは大きな魅力であり、1冊目の馬鹿でかい黒塗り修正が嘘の様な消しの薄さが有り難い所。
とは言え、口淫に重点がかなり寄っており、性器を介して互いの体を激しく交える肉弾戦を期待するのはNG。それ故女性側の性器描写も分量はあまり多くないです。
短編「ベットのぬくもり」は作風以上に、フェラ皆無・優しい抽挿・普通に中出しというエロシーンの構成に「世徒先生に何が!」と思わされました(笑)。
相変わらず読み手を引き付けるシナリオ構成の巧みさとお口スキー狂乱歓喜のフェティッシュなエロシーンで楽しませてくれますので、ファンなら買いといって良いでしょう。
今後どういった方向にさらなる進化を遂げていくのか実に楽しみな先生ですな。だからこそ、“生ける”伝説の先生なのです。
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