工藤洋『SURVIVAL GIRL』
僕は「○○先生の初単行本!」という売り文句に弱いのですが、それは一エロ漫画愛好家として「この新人さん凄いモノを持ってる!」と思わせて頂く瞬間が大きな楽しみの一つだからです。今回の作品はまさにそういった感じの処女作でとても嬉しかったです。
というわけで、工藤洋先生の初単行本『SURVIVAL GIRL』(ティーアイネット)のへたレビューです。
おっぱい関連やフェラに確かなコダワリを魅せ付ける濃いエロを描く技巧と抜き物件としてのシナリオの構成力を併せ持つ先生だと感じました。
収録作は全て短編で7作+おまけ漫画4P。少ないと感じるかもしれませんが、そこは流石ティーアイネットで1話当りのページ数は24〜32Pで平均28Pと確かな読み応え。
凌辱系・脅迫系に近いシナリオもありますが、基本的にコンビニ誌エロに近い明るく能天気な作風(←参照 短編「ハーレムな事情」より)であり、最終的に男女が結ばれる作品が多いため、多くの人にとって読み心地は良いと思います。作風に合わせてシナリオの比重は軽めですが、後述する各種エロ要素に彩られた活きのいいエロシーンのボリューム感で十分読み応えを確保してあります。
とはいえ、エロの邪魔をしないながらもシナリオ面も”コンビニ誌エロ”的なテンプレ展開と切り捨てるにはあまりにも勿体無い面白さがあります。
特に序盤の展開が魅力的で、ラブドールを注文したらなぜか本物の女性が送られてきたり(←参照 短編「訳ありリアルドール」より)、パイズリ屋という怪しげな職業のお姉さんが登場したり(「パイズリ屋」)、自分の捨てたエロ漫画雑誌をいつも拾ってゆく少女を描く短編「捨てる男に拾う女は」があったりと、序盤で読み手を引きつけるユニークな展開は◎。起承転結の”転と結”にあたる中盤以降での構成力の弱さが残念で、もう少しだけシナリオへの踏み込みを強くするだけでさらに面白くなると個人的には思います。
まぁ、中盤以降は実用性満載のエロシーンが目白押しですので、最初で読み手の興味をぐっと掴んでしまえばOK!という発想は悪くないと思います。
ただ、シナリオセンスのよさが炸裂しているのが、巨乳〜爆乳ヒロインがメインの今単行本で珍しいロリ娘が登場する短編「イノセント」です。
開始4Pにおいて少女を”拾った”男性の異常性を存分に表現し、以下延々ロリっ娘との(コスプレ要素も満載の)倒錯的な性愛が描かれます。が、これで終らずに数年後の少女性愛者と”大人になってしまった少女”の関係がどうなるかまで描いています。
それほどドラマチックな展開も深刻なメッセージ性もないのですが、それまでのドリーミーな少女性愛の行為を描いている分、”永遠の少女”という幻想への反撥が浮き上がってくる流れになっています。
愛し合う男女が子を授かる一見幸福なラスト1コマながら(←参照 「イノセント」より)男の性的嗜好、元・少女の男への盲目的に歪んだ思慕の気持ちを鑑みればかなりダークなラストであることは読んで頂ければ分ると思います。意図的に練られた作品なのか分かりませんが、こういった作品をポンっと繰り出せるセンスは素晴らしいの一言でした。
そして勿論今単行本の最大の魅力は迫力のあるエロシーンです。性格付けは様々ながら基本エッチ大好きなヒロインと妙に冷めているがいざ鎌倉となればヤル気満タンな男性がサクサクと行為に踏み切ります。
帯の訴求文でも強調されていますが、巨乳〜爆乳を活かしたパイズリ発生率の高さや、ティーアイネット作品らしい淫靡な舌や性器描写が光るフェラチオシーンのアピール力は大変高いです。
おどおどしたロリ娘やサバサバした巨乳さんなどヒロインの体型的なバリエーションは広いですが、特にボリューム感たっぷりのおっぱいが描かれている作品の魅力は個人的にはメーター振り切り気味(←参照 えぇ、大好きですとも 短編「パイズリ屋」より)。淫蜜のしぶきをあげる性器結合のアップも十分エロいですが、コマのセンター(≒視点の中心)に結合部よりも柔らかそうにたわみ、変形し、揺れるおっぱいを据える構図も大変素晴らしいです。おっぱいへの責めは前戯シーンだけでなく行為中まで持続することも多くおっぱいスキーには嬉しいです。
重量感や肌の質感では及ばないものの、そのこだわりと視覚的なボリューム感を優先する表現故に、ヤスイリオスケ先生に肉薄する程のおっぱい力(新語)を感じました。
勢いのよいセリフ回しと、トロンと性感に呆ける静的な表情とお口全開でよがる動的な表情の組み合わせ(ただ、表情の絵柄の安定性は今後の重要課題)で、丸々1P使って描く痛快なフィニッシュシーンへと駆け上っていくエロシーンは、しっかりと濃くそして激しく表現されており書店売り誌の面目躍如。
多回戦メインであり抜き所が多いのもうれしい限り。なお、外出しが1〜2割程度混入していますので気にする人は注意されたし。
ヒロインのキャラ立てやシナリオ面で才能の片鱗を十分見せてくれていますが、もう少し踏み込んで頂ければエロは抜けて話の印象もしっかりとする、より”楽しい”エロ漫画作品になるかなと感じました。
絵柄的には多少ズレるものの、ティーアイネットで看板張る作家さんになれるだけの素地は十分あると僕は思います。お勧めですよ!
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