柚木N'『シシュンキのアレコレ』
ここ数日というか最近全般レビューの質が低下気味で落ち込んでいます。何をどうしたら改善できるのかがさっぱり分かりません。文章力が乏しかろうと着眼点が凡百だろうと、とにかく駄レビューを書き続けるしか愛情表現の術が無いわけですが。
気を取り直して、本日は柚木N'先生の『シシュンキのアレコレ』(茜新社)のへたレビューです。死ぬほど駄目なレビューを書いてしまった前単行本はあまり評価できなかったのですが、個人的には今単行本で大化けした印象があります。
お馬鹿コメディからちょっぴり切ない恋愛話まで多彩な作風とやはりバラエティに富んだヒロイン達で読み手を楽しませてくれる作品集です。
収録作は、心霊研究部に所属する女の子が事故死した後文字通りに幽霊部員となって現れ、残された男女二人の恋のキューピッドを務める連作「ユーレイ部員」前後編(←参照 後編より)、中○生とは思えぬ大人びた態度で男性教師に積極的に迫るクールな美少女が魅力の短編「先生、ロリコンですか?」+後日談のフルカラー短編「先生、ロリコンですね。」(3P)、および短編7作。上記のフルカラー作品を除き、1作・話当りのページ数は20〜22Pと安定しています。(余談ですが目次のページ数が間違ってますよ茜新社様)
エロシーンを魅力的に見せることに軸を置きつつもシナリオによる作品全体の盛り上げもしっかりとしており、両者のバランスの良さが前作よりもグッと高まった印象があります。
男性教師の登場する上述の「先生、ロリコン〜」シリーズ2作を除いて、全作ミドル〜ハイティーンの少年少女の恋愛模様をベースとしたシナリオです。
どの作品も暗さや重さはほとんど感じさせず、完璧にお気楽路線を貫いている作品の割合が高めです(←参照 全男子垂涎のドリーミーなご提案 短編「FIFTY×FIFTY」より)。ご飯が喉につかえて「エビアン汲んできて、フランスまで」とのたまう超我儘生徒会長とそれに反旗を翻す下僕こと副会長男子が繰り広げるエロコメディ短編「DICTATOR」に代表されるように、個々に魅力的なキャラクターでテンポよく話を動かすタイプであり、恋愛ドラマに過剰に期待するのは避けるべきでしょう。とは言え、多少シナリオの構成が甘かろうが、短編「キョリワルハヤサの距離」で描かれた清々しいほど率直なヒロインの恋心や短編「彼女のいる風景」の少年の不器用ながら純粋な愛の告白、そして連作「ユーレイ部員」で描かれた死別した彼氏君と親友の女の子を最後まで笑顔で見守りながら静かに成仏していった幽霊部員のれいなちゃんの献身など、それぞれ嫌味なく伝わってくる温かい感情は非常に魅力的に感じます。
特に短編「ファインド・アウト」は、性悪なイケメンに辛い目に合わされている女の子をちょっとさえない男の子が純な思いを以て救いだすという割合オーソドックスなシナリオながら、シリアス成分の添加が効果的に働いており、明るい笑顔の下に隠していた辛さを吐露して堰を切ったように泣きだすヒロインと、その声を背に受けて固く唇を噛む男の子とを描いたシーン周辺の心理描写が非常に上手く、読み手の胸にじんわりと切なさを湧かせてくれます。
ただし、この短編「ファインド・アウト」を含め、ラストはヒロインも(やや存在感が薄いながら)男性も置き去りにしないハッピー&コミカルなタイプなのでどの作品も読後感は良いという印象です。
以前は線の荒さや表情の硬さが取っ付きにくさを個人的には感じていたのですが、カバー裏の作品解説で先生も書かれているように絵柄は変化しており、メリハリをしっかり付けながら細くなった線がしっかりと整理され、より洗練された絵柄になっています。
また、年上ヒロインの挑発的な表情こそ良かったものの感情表現とうまくリンクしない表情だった前作に比べ、時にオーバーな味付けをして楽しくヒロインを魅せたり(←参照 短編「先生、ロリコンですか?」より)、ヒロインの様々な思いを表情の移ろいで表現したりと、表情の見せ方が大きく進歩している印象があります。大人しい性格のヒロインも複数いますが、どちらかというと元気で明るい性格の美少女達が多く、各作品に華を与えています。体型的に関しては適度にスレンダーな体幹に並〜巨のおっぱいを装備したオーソドックスな造形であり、特筆すべき大きな特徴はないですが、それ故安心感はあります。
「先生、ロリコン〜」シリーズの中○生のはずのヒロイン安藤さんが表情も言動もどう見てもお姉さんキャラクターとか、短編「彼女のいる風景」においてメガネを取ることで隠されていた可愛らしさが明らかになるヒロイン山内さんが眼鏡をかけている時の方が数倍可愛く見えてしまったりと、やや詰めの甘いキャラ造形のヒロインさんもいますが、これはまぁ、ご愛敬の範囲内。
ただ、時々下半身がやたら肉付きが乏しくなって体躯のバランスが不安なコマが散見されるのはちょっとマイナス評価です。
エロとキャラの魅力を下支えするシナリオパートからスムーズに導入されるエロシーンは、質・量共に十二分な水準にあると共に、プレイ内容がこれまたバリエーション豊富で読み手を惹き付けます。
ラブラブ系の制服エッチというのがベースではありますが、男複数対女性一人(短編「ロッテンマイヤーに夜露死苦」)や男一人対姉妹(短編「「FIFTY×FIFTY」)の複数プレイがあったり、ワガママお嬢様がエッチでは超従順になってしまう短編「DICTATOR」があれば年下美少女に男性教師が完全にリードされ翻弄される短編「先生、ロリコンですか?」があったりと実に様々。なお、恋愛エッチ系ながらアナルが絡むケースが何回があるので前穴至上主義な方は要注意。
存外に純なヤンキー少女が親戚のメイド喫茶で働いて〜という短編「ロッテンマイヤーに夜露死苦」(←参照 意外に可愛い組み合わせ)に代表されるように、気が強かったり無表情気味だったりするヒロインがエロ行為に恥じらい、性感に顔を紅潮させる様子も素敵です。性器描写に関しては過剰な淫靡さは無いもののリアル寄りで、薄めながら陰毛アリなヒロインも二人ほど登場します。
エロシーンにおいて男性の存在感を巧妙に隠しており、ヒロインの痴態に集中したいというニーズにはしっかり応えていますが、同時に激しい肉の交わりを描くという意味ではやや力不足という感もあります。
抽挿シーンと同程度の分量をかけて丁寧に前戯を行ったのち挿入、ラストは膣外へゴプッと白濁液が漏れ出るほど勢いよく中へ(時々アナルへ)注ぎます。フィニッシュは大ゴマ〜見開きと視覚的なボリューム感で圧倒してきますが、見開きを使っている時はやや構図がイマイチでもうちょっと官能的に表情や局所を見せる配置にして頂きたい所。
華やかさとスタイリッシュさを増した絵柄と言い、コミカル方面でもシリアス方面でも歯車がかっちり噛み合うようになったシナリオと言い、急激に巧くなったように個人的には感じます。
このスタイルでお得意とされている年上ヒロイン系の作品を描かれたらどんな作品になるのだろうかと俄然次回作への期待を増してくれる作品でした。御見逸れ致しました。
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