井ノ本リカ子『A.My.Sweets』
今月号の快楽天の個人的な印象は、“地味に面白い”という感じでした。田沼雄一郎先生、ポン貴花田先生、暁葉龍先生あたりが特にお気に入り。しかし、
相変わらず出遅れっ放しですが、本日は井ノ本リカ子先生の『A.My.Sweets』(マックス)のへたレビューです。いやはや、如何にも甘そうな雰囲気の表紙絵が素敵です。
可愛らしく描かれるヒロイン達との甘々ラブ空間と彼女たちの柔らかい体に包まれる底なしの心地よさが味わえる作品です。
収録作は全て短編で11作。盟友BENNY'S先生によるおまけ4コマは今回は1P増しで3P。初出が全てポプリクラブと言うこともあって1作当りのページ数は10〜20P(平均17P強)とあまり多くはありません。
シナリオの構成よりもヒロインの心情描写で魅せるタイプの作風故にページ数以上にボリューム感は乏しいですが、暖かい雰囲気にまったりとつかる読み心地の良さは大変に魅力的です。
メインはカップルさんのイチャイチャ話(←参照 髪型に関しての言 短編「どようびのごご」より)か、友達以上恋人未満な二人の最後の一歩あメインであり、毒や痛みはほとんど存在しない優しい作風です。後書きによればもう1年以上地味っ子ブームが先生の中で継続されているようですが、個人的にはキャラクターデザインが地味というよりは恋愛感情の描出が悪く言えば地味、よく言えば穏やかという印象があります。
男女共に、好いた惚れたを明確な言葉や勢いのある行動で伝えたり明示したりするのではなく、ちょっとした仕草や物言い、胸の内のモノローグでサラリと、しかしてトキメキ成分たっぷりに表現する手腕は女流らしいですし、ベテランとしての実力を遺憾なく発揮しています。
ヒロイン側の台詞量を抑えているのが特徴で、特にエロシーンでの小さく読みにくい台詞の文字はその言葉を読み手ではなく作中の男性のみに伝えようとするかのようであり、その二人に閉じられた空間に籠る愛の熱量が作品の温かさを作り出しているように感じます。男性キャラに自己投影できる方にとっては、さらに魅力が増しますよ。
表現としての明瞭性を敢えて欠いた恋愛描写であることが、割合快楽優占主義に近い短編「サンタちゃん」や「ラッキー?」との雰囲気の落差を認識させないようになっており、快適な読書感を最後まで維持してくれます。
勿論、どの作品もほんわか温かいハッピーエンドを迎えます。小難しいことを考えず、その優しくラブい雰囲気に癒されることをお勧めしますよ(←参照 年下ヒロインの“よしよし”は反則 短編「よしよし」より)。ヒロインさん達は元気娘さんからクールビューティー、大人しい女の子から凛とした大人の魅力を持つ女性教師などなど割合にバリエーションに富んでいます。ただし、上述のように地味っ子志向であるためキャッチーな味付けの強さを期待するのはNGです。
以前に比べるとやや等身を低下させ、横方向にお肉のふっくら感を増した印象がありますが、華やかな絵柄がむっちり系にはある肢体の重量感をあまり感じさせません。でも、実に柔らかそうに描かれるたっぷりおっぱいの重みはしっかり表現されているのでご安心下さい。
かつて『プリティ・サイズ』(晋遊舎;現マックス)のツンツン眼鏡、宮原さんに惚れた管理人は「ぼくのせんせいは」に登場の尾田先生(←参照 叱られたい!その後慰められたい!)が大変お気に入りです。あぁ、でも短編「サンタちゃん」の超いい子なサンタ娘さんも短編「おもちかえりっこ」のちびっ子巨乳さんも捨て難いですなぁ。互いの恋心から体を重ね、そのことで想いを通じ合わせるエロシーンもまたラブい雰囲気に満ちており、時には男性の体やチ○コを半透明にしてさえ常に女性器を見せつけるえげつない構図(誉め言葉)さえ抵抗感をほとんど与えません。
お互いの心と体を思いやる優しい性交が描かれるため、男女の体が激しくぶつかり絡み合う肉弾戦を期待する方は回避推奨ですが、小さく書かれる擬音をその音源の周囲に沢山散りばめて動きを上手く表現しています。
また、エロシーンでは標準装備のやわらかおっぱいが大活躍であり、トロットロに惚けた表情や丹念に書き込まれた淫靡な秘所と組み合わされることで煩悩の刺激力を大いに増しています(←参照 めり込む指に注目 短編「妄想スペシャル」より)。男性の手によって柔軟に形状を変化させる双球によるパイズリやちょっぴりぽってりとした唇によるフェラも共に魅力的ですが、男性による女性器への前戯描写にかなり力が入っており、クリと膣内同時愛撫でヒロインが浮かべる実に気持よさそうな表情が◎。女性に対する征服欲というよりは相手を気持ち良くして上げたいという奉仕の気持ちが充足するように個人的には感じます。
フィニッシュはハートマーク付きの切れ切れな嬌声をあげるヒロインに中出しを決めてくれます。なお、愛を確かめ合うような正常位・対面座位でのラストが大半を占めるのは嬉しい所。
安易なキャラ造形や分かり易いドラマで恋愛描写を軽くしない意外に強固なコダワリがある一方、強烈な作家性やアクの強い要素も絡ませない柔らかさを併せ持つバランス感覚は相変わらず一ファンとして信頼感があります。
存分に実用的読書を楽しんだ後でもゆっくりと浸れる甘く優しい雰囲気は、正に“甘いスイーツ”をタイトルに冠しているだけはあるなぁという感想です。お勧め!
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