神楽ゆういち『縛られ妻』
三連休にレビューを進める計画がオジャンになったのはもう別に構わないのですが、大量発売週の今週をどう乗り切るかが大問題。またしばらく積んでしまう新刊が増えてしまうんでしょうなぁ(溜息
さて本日は、神楽ゆういち先生の初単行本『縛られ妻』(ティーアイネット)のへたレビューです。機会に恵まれずしばらく積んでいました。
タイトル通りに、嫌がる義母や実母を縄で縛って調教→快楽の虜にというベッタベタな展開が楽しめるネオ劇画系作品集です。
収録作は全て短編で14作と、かなり収録本数は多め。1作当りのページ数は10〜20P(平均15P強)とティーアイネット作品としてはかなり少ない方。
熟女(年上)ヒロイン緊縛モノとしてのドロっとした雰囲気はよく出ていますが、いかんせん1作ごとのページ数の少なさゆえに読み応えは弱い印象があります。
ページ数から推察される通り、残念ながらシナリオは無いも同然。時に仕返しのために(短編「母奴隷」「姉」)、多くの場合純然たる肉欲の趣くままに男性がヒロインに(性的な意味で)襲い掛かります(←参照 短編「美熟女」より)。この手の作品に必須といってもよい、縛り縛られる登場人物間の関係性の描出や禁忌としての近親相姦を演出するドラマがあまりなく、単に母と子の性行為そのものでしか背徳感を出せていないのが勿体ない所です。
神楽先生ご自身も編集部様もシナリオの弱さは分かっていらっしゃるようですが、ストーリーの整合性とかご都合主義か否かといったことよりも、シナリオをきっちり盛り込もうという努力を大事にして頂きたいと個人的には思います。
ただし、シナリオを放棄した故の、ある種のエロの攻撃性は出ていることは特筆しておきます。
酔った義姉とイケナイ火遊びな短編「姉の香り」では、珍しくヒロイン側に主導権がありますが、大半の作品は熟女ヒロインの貞淑の仮面を剥ぎ取り淫欲に溺れさせる緊縛凌辱(調教)劇。
前述の通り、シナリオによる背徳的な官能の演出には乏しいため、各ヒロインが所謂“犯られキャラ”然となってしまっています。加えて、ほとんどの作品でエロの傾向や登場人物(男女共に)のキャラ立てが似たり寄ったりであるため、単行本通して読むとどうしても一本調子になりがちです。
収録作中では短編「キャスター」が個人的に最も面白く感じました。序盤のストーリーやエロへの導入の弱さは他作品と共通し、後述するエロの展開等もほとんど同じですが、体を拘束され、全身を嬲られ、その痴態を撮影されようとも、自分と自身の職業への誇り故に決して屈服しなかったヒロイン霧島さんの決然たる態度が魅力的なラスト(←参照 短編「キャスター」より)を迎えます。こういったキャラクター構築が出来るならば、今後シナリオ展開能力が開花すればかなり面白い作品が描けると思わせてくれました。
一人だけハイティーンクラスの妹ヒロインがいますが(短編「兄妹」)、基本的には姉や母(実・義理両方アリ)、人妻などの年上ヒロインが登場します。表紙で分かるとは思いますが、瑞々しい美少女の肢体を愛でたい貴兄は回避推奨。
なお、全員黒髪であり、眼鏡着用率が高いという特徴があります(←参照 短編「教師失格」より)。この場合、女性の眼鏡は理性とか貞操とかの象徴と思われ、悪くない味付けになっていました。オバサン臭いと感じる人もいるとは思いますが…。重力に屈しかけている巨乳やだらしなく伸長した乳首、肉付きのよい臀部・太ももなどはいかにも熟女モノという感じの肢体で大変美味しいのですが、年齢とかキャラクターとかによる描き分けが不足している印象は強いです。
女性器描写に関して言えば、描き込みが不足しているとはいえ、陰毛アリアリのリアル路線で作風によくマッチしています。
当然ながら縄で縛るシーン(←参照 短編「マリア」より)がほぼ毎回登場しますが、そこにSM的な様式美や官能の輝きは少なく、端的に言えば“強姦の道具立て”程度の役割しかない印象はあります。また、表紙絵から派手な液汁描写があると考える方もいらっしゃるでしょうが、どちらかというと派手さは控えめな液汁描写です。体の動きは結構激しく描けているので、もう少し思い切った液汁描写がマッチするかなとも思いますが、そのためには特に白濁液の質感の表現力の向上が必要な気がします。
コマ割りがかなりゴチャゴチャしており、エロシーンを読み進め難いのはせっかくポテンシャルが高い実用性を損なっています。フィニッシュシーンにおける射精のカタルシスもちょっと不足気味。
個人的には、セックスが行われる場所・場面に合わせて色々な物品(野菜などの王道から生け花といった変わり種まで)をエロに絡めてくるのはちょっと面白かったですし、次は何かな?と変な期待を持たせてくれました。
アナル関係の描写の登場率は高めですが、膣に方に中出しフィニッシュの後に1P程度のアナルセックスが追加されているなど、その扱い方は結構中途半端なのでアナルスキーは注意されたし。
ネオ劇画系の絵柄が好きで熟女属性があれば実用性はしっかりと味わえますが、シナリオにしてもエロシーンにしても構成力に未だ課題アリという感じです。
ティーアイネットが最近輩出している有望な新人作家様の中で、きっちりネオ劇画系に踏み込める能力を最も持つ先生だと思うので今後に期待したいと思います。
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