Rico『あまーい恋しよ』
そうさ、三連休も仕ー事のために、カフェインとニコチンだけがとーもだちさー(某菓子パンヒーローのOP風に健康に働けるというのは大変良いことですが、もうちっと自由な時間が欲しいなぁ。
さて本日はRico先生の『あまーい恋しよ』(コアマガジン)のへたレビューです。この手の作品は疲れた心を癒してくれますなぁ。
タイトル通りに若いカップルさん達のラブラブエッチがたっぷりと味わえる作品集です。
収録作は、初エッチで晴れてラブラブカップルになるも、彼女さんが生理でエッチ出来ない間に彼氏君に浮気疑惑が浮上してな「こいびとどうし」シリーズ全3作(←参照 掛け値なしのバカップル 「もっと・こいびとどうし」前編より)、および短編8作。1作・話当りのページ数は16〜20P(平均18P弱)と初出が漫画ばんがいちであることを考えれば普通のボリューム。
というか、女の子の可愛らしさとラブい空気感をまったり楽しむことがメインの作品群であり、そもそも重い読み応えや胸に響く余韻を楽しむタイプではありません。
登場人物達の華やかな掛け合いでコミカルさを演出しつつ、シナリオは少年少女の羨ましくなるぐらいのイチャイチャラブラブぶりを見せることに終始しています(←参照 ギャグ漫画チックな絵柄も○ 短編「初恋心」より)。肉体関係の有無はともかくとして、物語冒頭で既にラブラブ状態になっていることが多く、少年少女の出会いから恋心を徐々に育てていく恋愛劇を期待するのはNGです。
上記のシリーズ作のように、二人の中がより深まるキッカケとしてちょっぴりシリアスな要素を絡めますが、痛みのイの字もない展開を見せ、恋とエッチが全てを丸く収めてくれるタイプですので、あまり気にする要素ではありません。
端的に言ってしまうと、既に主人公のことが好きな美少女ヒロインがさらに愛情を深めようとエッチをおねだりし、男性に抱かれて幸せを謳う、まぁ死ぬ程ご都合主義的なドリームワールドが広がっています(←参照 ある意味今単行本の全て 短編「気持ち伝えてぎゅっとして」より)。エロシーンも含めて恋愛に惚け、ちょっと戸惑う美少女さん達を魅力的に描くことに力点があり、感情描写もヒロイン中心。作風にはマッチしていますが、男の子達にはあまり存在感はありません。悪く言うとラブい空気は甘いですが、シナリオの詰め方も甘いタイプ。でも、それがネガティブに感じられるような作品ではありません。
このベッタベタ展開と極甘ラブ雰囲気の全開っぷりに気負いや無理・無駄が全く感じられず、初単行本にしてスタイルがしっかりと固まっているなという印象です。
絵柄的には現代萌え絵柄ど真ん中のタイプであり、髪型以外のキャラの描き分けがあんまりないのは気になりますが、とびきりキュートな美少女さんを楽しみたい貴兄にはベストマッチな絵柄です。
シナリオパートでちょこちょこ挿入してくるコミカルな崩しが微笑ましく、いいアクセントになっていました。
愛くるしいヒロインズはミドル〜ハイティーンの美少女オンリー。
設定上女生徒さん達ですが、制服よりも可愛い系の私服の登場頻度が高いのは人によっては嬉しいかも。もちろん、ブルマ体操服(←参照 短編「いつでも側に」より)やメイド服といった萌えエロに親和性の高い衣装も各種取り揃えられています。なお、おっぱいはツルペタさんからお椀形巨乳さんまで幅広め。あまりエロ的な活躍はしませんが、適度に張り出した柔らかそうな脂肪の塊は実に美味しそうです。
エロシーンはそこまでボリュームがあるわけではないのですが、男の恋心もエッチの快楽も両方を享受するヒロインの蕩けた表情がエロの生命線。
恋し合う二人の幸せなエッチであり、基本マッパになるゼロ距離エッチ(words by アリス缶詰師匠)の温度感を伴った性愛の多幸感はなかなかのものです。
お互いを思いやる性行為であるため、肉欲をガツンガツンとぶつけ合う激しい肉弾戦を期待するのは避けるべきです。ソフト路線の“綺麗な”エッチですので抜きの実用性がそこまで高いわけではありません。
エロは美少女を引き立てる重要な一要素と割り切れるならば好打球です。
なお、外出しの割合が3割弱ほどあるので、中出し原理主義な貴兄は要注意。まぁ、ドロドロの液汁描写があるタイプではないので中・外の違いをあまり重視しなくても構わないとは思いますが。
エロ漫画に尖鋭性やマニアックさ、強烈な作家性の萌芽を求めている方にはやや進め難いのは確かですが、フワフワ感のあるラブ空間をのんびり楽しむには好物件という印象。
表紙の絵柄と雰囲気にピンと来た方は買って間違いないと思いますよ!
唐辛子ひでゆ『七色唐辛子』
「とらドラ!」は面白いですなぁ。底抜けに明るい太陽みたいなみのりんも○ですが、やっぱり大河可愛いよ大河。原作未読なので今後どうなるのかさっぱりですが、主人公とヒロインが恋愛感情とはまた別の信頼関係を構築するのは面白いなぁと。
さて本日は、唐辛子ひでゆ先生の初単行本『七色唐辛子』(ヒット出版社)のへたレビューです。一見和風の美しい表紙と見せかけて、よく見るととんでもないことになっています(笑。
表紙の通りの大バカエロコメディと少年少女の心温まる純愛ストーリーの両方が楽しめる作品集です。
収録作は全て短編で8作。これに描き下ろしの掌編作「ほっかほか金時」(4P)が付いてきます。
1作当りのページ数は18〜32P(平均24P弱)と中の上クラスのボリューム。ギャグ系では漫画展開の緩急がページ数に見合っておらずやや間延びしている感はありますが、ラブストーリーでは温かい雰囲気を落ち着いて味わえる構成になっています。
高嶺の花な学芸員のお姉さんが展示物の彫像を使ってオナニーをしているを発見し、自分がそれに成り代わって〜という「身代わりセックス作戦」(原文ママ ←参照)が敢行される短編「キミはたくましい像」で始まる今単行本は、短編2作を除いてお馬鹿なエロコメディ。人物関係が幼馴染だったり姉弟だったりしますが、恋愛要素は非常に希薄であり、男女の初々しい恋愛模様を期待するのはNG。
来るべき女性上位社会のためにオマタを鍛える(原文ママ)女生徒たちを描く短編「お股の教室」や、惑星探査で遭遇した未知のウイルスに抗体を持つ男性を巡って女3人の素敵に浅ましい争奪戦が楽しめる短編「Fuck or Die」のように、「幼馴染の関係?初恋の相手?そんなのエロの前には些細なことよ!」と微塵の後ろ暗さもなく駆け抜けるコメディです。
大好きな先輩(変人)にアタックしたら体で生け花をされちゃって(表紙絵参照)な短編「錦上添花」も含め、コメディにおける設定のアイディア力はしっかりあるのですが、序盤でガツンとぶつけた奇抜なアイディアで生じたテンションがずるずる低下していくような構成は折角のギャグの活きの良さを殺している感があり、ちょっと残念。個々のページ数は十分な分、オチを含め中〜終盤でのもう一捻りを加えて頂けるとより楽しめると個人的には思います。
これに対し、少年の真っ直ぐな恋心と熱意が少女の強さの中に隠れた弱い心を救い出す恋愛ドラマ短編「節切の丘」「あなたに免許皆伝」は共にベタ気味ではあるものの、プロットがしっかり構築されており、なかなか力強い恋愛ドラマを魅せてくれます。
特に短編「節切の丘」(←参照)は、苦しみの生から逃れんと崖から“飛び降り”て命を絶とうとする籠の鳥の少女を、浪漫を追いかけ自作の飛行機で“飛び立とう”とする少年が救うという練られた設定、少女の明るさが少年の熱意を励まし、その熱意によって少女もまた救われるという心温める展開が共に非常に巧く、ドラマチックなフィナーレを素直に祝福させてくれる力強さがあります。短編「あなたに免許皆伝」の落下した先代の扁額、短編「節切の丘」の外れた首輪など、サラッと描かれた小道具がしっかりと少年少女への祝福を伝える仕掛けになっているのも漫画表現として非常に上手でかつ好印象。
おまけに描き下ろされた掌編作「ほっかほか金時」が、その名の通りに焼き芋の如く優しい甘さと暖かさを持つラブ話であるように、エロコメよりも恋愛劇を描くことがお得意なのでは?
と考えています。勿論、コメディも読ませて頂きたいですが、次の単行本では少年少女の伸びやかな恋愛劇の分量を増やして頂くと嬉しいなという感想です。
丸みの強い柔らかい描線を多用する絵柄は現代的な萌え絵柄でクセやアクはほとんど無く、万人向けといってよいタイプ。ミドル〜ハイティーン中心のヒロインさん達を可愛らしく描けています(←参照 ヒロイン3名の豪華さ 短編「Fuck or Die」より)。作品間で絵柄のブレはほとんどありませんが、表紙絵は彩色がかなり良いため中身よりも相当魅力が高まっているので、出来ることならパラ見可能な本屋さんで購入を検討することをお勧めします。
なお、所謂“作画が抜けている”コマが散見され、それはそれで味になったりするのですが、特にコメディ作品でギャグ展開の要所となるべきコマで描画が荒くなっているのは個人的にはマイナス評価。まぁ、この辺りは好みにも依るので何とも言えませんが。
十分なページ数があることもあってエロシーンの分量はしっかり確保されており、コメディ作の快楽優先主義なエッチもラブストーリー短編における純愛エッチもどちらも楽しめます。
前の穴にキノコを生けられたヒロインの姿がふたなり少女みたいで面白い短編「錦上添花」(←参照)のように、緊縛とかおしっことか近親とかアブノーマルな要素も絡めてきますが、倒錯性というよりは面白さの演出であり、変態チックを楽しみたい方には物足りないかも。むしろ特に純愛エッチで顕著な、裸になった男女が互いの肌を重ね合わせ、互いへの想いまたは真っ直ぐなエロへの願望を重ね合わせる様が意外に温かく読み手の煩悩を刺激してきます。
抽挿シーンを長めに取ってあるエロシーンの構成もこの印象を強めており、エロの温度感を重視する方には結構な好物件、エロの激しさ・派手さを求める方にはやや弱含みな作品という感じです。
年齢関係なくツルツルなお股ですが、性器表現の水準は高くなく、淫靡に照らつく媚肉を眺めたい貴兄は回避推奨。なお、アナルセックスは2作あり、短編「錦上添花」は初エッチでアナルオンリーという構成ですので、前穴中出し至上主義な貴兄はよく検討をされたし。
袴に代表されるような日本情緒や宇宙探検や飛行機といった航空宇宙関係など、唐辛子先生ご自身が好きなものをしっかり作品に盛り込めていること自体が非常に好印象でした。
これらの要素とコメディやエロを上手く結び付けていく手法を磨く場としてコミック阿吽は好適な場だと思うので、次回作を今からとっても楽しみにしております。
ののるみあ『よい娘のおもちゃ箱』
帰宅途中に急に思い出して、閉店間際の本屋に駆け込みサナギさんの最終6巻を購入。危うく買うのを忘れるところでした。時間がなくてまだ読めていませんが週末にゆっくり読みたい所です。休めればね…。
さて本日は、ののるみあ先生の初単行本『よい娘のおもちゃ箱』(コアマガジン)のへたレビューです。“武若丸”という別名義で女性向けも描かれている作家様です。
リリカルに描かれる耽美な雰囲気の中、愛らしく描かれたヒロイン(と男の子)の痴態を味わいたい貴兄貴女にお勧めです。
収録作は、プライドの高いお嬢様が年下のショタっ子執事に(性的な意味で)下剋上されてしまう連作「私の執事様」「私のメイド様」(←参照 丁寧な言葉と微笑みの下にSっ気を隠す金髪ショタ(ジュルリ 「私の執事様」より)、および短編9作+おまけの4コマ(7P)。1作当りのページ数は8〜20P(平均17P弱)とボリューム感はやや弱め。とは言え緻密に構成されたビジュアルとモノローグ・台詞による感情の描出が作り出す雰囲気のよさは素晴らしく、作品全体にある華やかさをじっくりと楽しめます。
タイトル通りに二人に閉ざされた世界の中、相互依存的な近親相姦を重ねながら壊れていく兄妹をゴシカルに描いた短編「CLOSE」を除けば、コアマガ系らしい明るく楽しい作風がメインです。
シナリオ展開や想いの熱量において作品間で差こそあれ、カップルさんもしくはその一歩手前の男女が、互いの好意の発露として体を重ねていく話がメインであり、少女漫画チックに素敵な恋愛感情の表現が諸所に配置されています(←参照 管理人萌え死 短編「drops」より)。男女のごく当り前の日々から、二人の恋心と本当に些細なきっかけとでエッチに発展する流れであり、恋路の障害を想いのエネルギーで突破したり、ロリ(短編「drops」や「お嫁さんごっこ」)や近親相姦(短編「にぃにが一番!」)に付随するシリアス要素に踏み込んだりするドラマを期待するのは避けるべきという印象。
シナリオは、時に可愛らしく時に妖艶なヒロインさん達、およびクールな美男子やキュートな男の子達を魅力的にキャラ立てすることに徹しているという印象です。
後述するように男性向けエロ漫画として抜き的にもしっかり機能していますが、その耽美な作風とクールなキャラメイキングは女性読者層へのアピール力も強いかなと思います。
ヒロイン陣は、兄を性的にも支配下に置く小悪魔妹キャラ(←参照 勿論足コキあり! 短編「にぃにが一番!」より)、可愛らしさと純真さのみで構成されたかのようなロリっ娘、上述の負けず嫌いなお嬢様、気弱な男の子を素敵に翻弄する女性教師(短編「うら」)などなど実に様々。作風に合わせて殊更に特殊な要素や感情を備えない、悪く言えば凡庸なキャラ造形ですが、ヒロイン達の情動は年齢・設定に依らずピュアな恋心に下支えられた伸びやかさがあり陳腐な印象は決してありません。恋やエッチに照れたり戸惑ったり、時には積極的に男子を籠絡したりする様子は個々にしっかりと魅力的です。所々で挿入させる漫画チックに崩した表情も可愛くて○。
ただし、キャラ立ての重点は男性側にもしっかりと置かれており、美男子はクールにショタ男子はキュートに描かれています。存在感があるという以上に、性的な魅力を備えるキャラクターとして描かれますので、「野郎の悶え顔なんぞ見たくない」「ナヨナヨした男の子はちょっと・・」などといった貴兄は回避推奨。
個人的には、妖しいエロスを香らせる女教師が男の子の細い顎をくっと持ち上げてキスをする短編「うら」の一コマなんぞキャーキャー言いながら読んでましたが。
短編「drops」や「お嫁さんごっこ」のロリ娘(小○生クラス)さん2名は当然ぺったんこですが、その他のヒロインはゴムマリの如き大きめおっぱいを標準装備。重力に屈しない若々しいハリと柔らかさを兼ねそえた魅惑の双球ですが、存在感はともかくエロ行為にあまり絡まないのは残念です。でも淡い色の乳首はとっても美味しそうで眼福。
細い線を高密度に而して緻密に描き込む絵柄が醸し出す華やかさはエロシーンでもしっかりと活きており、ヒロイン陣とショタっ子陣の性感に乱れる表情をエロティックに演出しています。
また、男性を挑発する淫靡な表情もよく(←参照 短編「にぃにが一番!」より)、いくつかの短編で存在する女性側が男性を責めて悶えさせるシーンの妖しいエロスを高めていました。一コマ一コマの耽美なエロスでエロシーンの扇情性を構成していくタイプであり、ガンガンと体と性器を交える肉弾戦の激しさとは無縁の構成なのでその辺りはご嗜好とよく相談をされたし。全体のページ数が少なめであることもあり、エロシーンのボリューム感はそこまで強くないことにも注意が必要です。
なお、上でも書きましたが、キスシーンが大変上手いのは流石女性向けも描かれる女流作家という印象で、絡み合う舌も名残惜しげに糸を引く涎もしっとりとしたエロスに満ちて表現されています。
性器のアップや結合描写は高い水準にありますが、液汁描写はイマイチ物足りず、中出しフィニッシュでのなんか薄そうである意味現実的な量の白濁液は射精カタルシスを満たすにはやや弱めかなぁと思います。まぁ作風に合わせてのことと思いますが。
エロ的には短編「にぃにが一番!」と連作「私の執事様」「私のメイド様」が個人的なお気に入りで、勿論しっかり使わせて頂きました。
男性の僕から見た“女性向き”という評価が果たして的を射ているのかは自信がありませんが、そのような雰囲気がしっかりとある作品だとご理解頂けると助かります。
個人的には結構お勧めですよ!
てっちゃん『とろける穴』
横島一先生の『悪徒』2巻(秋田書店)を読みました。いやー、単行本派なのでエライ吃驚しました。まさかあのキャラが実は×××で×××装備とはなぁ・・・。まぁ、それはそれで美味しいです(←変態
さて本日は、てっちゃん先生の『とろける穴』(ティーアイネット)のへたレビューです。主にヒット出版でロリ系を描いている先生ですが、TIでは初めての単行本とのことです。
ピリッとしたブラックユーモアが隠し味的に効いた朗らかな雰囲気の中、エッチ大好きな美少女・美女が男の精を積極的に貪る様が楽しめる作品集です。
収録作は、会社の倒産によって一家離散の憂き目に会いながらも学校の屋上にて逞しく生きる長女(←参照 「私、部屋では裸族なの!」が口癖 短編「とろけるのう」より)、およびその妹と父のエロエロ世渡りを描くコミカルなシリーズ3作、および短編9作。短編「まなびや」に登場のカップルさんは上記のシリーズ作にも登場するので一部作品間では舞台設定を共有しているようです。
1作当りのページ数は16〜20Pでほとんど16P作品と、TI系にしてはかなり小さいボリューム。端的に言って読み応えは弱いですが、コミカル系もブラック系にしても話のオチがどれも上手く、読む楽しさを読後にまで延長しているのは素直に評価できます。
大別すれば、ヒロインのキャラクターで魅せるエロコメディではあるものの、全体的にちょっと捻りを加えている感はあります。
野球部のエースが自分の彼女を性処理係として他の部員に抱かせる短編「菊池君の約束」、旦那がぐっすり眠る横で部下の男性と交わる人妻が登場する短編「Noと言えない秋本さん」、万引き少女を店長が脅して凌辱する短編「妄想店長」など、どう考えても暗いオチになりそうなダーク系の流れを能天気な劇終に持って行きます。
そのシナリオの方向の変化自体がコミカルでもあり、陰湿感や背徳感を強めるような要素はほとんどありません。描写自体は結構少なめですが、カップルさんが登場する多くの短編では女性側の好きの気持ちの表現もあるため、エロに特化し過ぎた殺伐感はほとんどありません。
とは言え、ごく普通のラブコメ・エロコメと見せかけておいて、サラリと流していたりギャグで飾っていたりしながらも、よくよく考えるとかなり黒いラストを迎える作品が多めです。
お金持ちから学校の屋上生活に転落しながらもあっけらかんと快活に生きていくヒロインが大変魅力だった上記シリーズ作は、ヒロインの妹が肉体関係にあった男性教師に物凄く意味深な台詞を投げかけて終わります(←参照 シリーズ最終話「だすモノでるモノトコロかわらず」より)。妹さんなりの逞しい生き方のコミカルな表現ではありますが、主人公と愛の言葉を紡ぎながら新たな幸福を享受するヒロインの長女さんとの対比として描かれており、なかなかブラックなユーモアとなっています。
短編「かんちがい」での終わらぬストーカーチックな狂気、「せーふくゲーム」での愛の不在の疑惑、「カラテカ」での彼氏君の存在価値の不気味な希薄さなど、決して読み手に重い心理的負荷を与えないながらも、じわりと胸に沁み込んでくる苦い味は各作品の魅力を高めていたように個人的には感じます。
ただ、ページ数が少ない故に終盤のシナリオの動かし方がやや忙しないのはマイナス要因であり、もうちょっとどっしりとした構成をお願いしたい所です。
ヒロイン陣はミドルティーン少女〜人妻さんまで広めですがハイティーンが中心。全員おっきめおっぱいを標準装備している(←参照 短編「せーふくゲーム」より)こともあって、ロリ色はほとんどないので、てっちゃん先生の既刊が大好きという方はよく検討されたし。分かり易いエロ属性は巨乳を除いてあまり無いものの、さすがに作家歴を重ねていらっしゃるだけあって作画は安定しており、しなやかに動き絡み合う女性の肢体はしっかりと美しく描けています。
なお、裏帯に「美少女だけど意外と剛毛(はあと」とあるように、アナル周辺までしっかりと陰毛描写があるため苦手な方は回避推奨。これに反するわけでもないですが、性器やアナルはあまり描き込むタイプではなく、それらによる直接的な扇情性を期待するのはNGです。
輪姦行為や強要系(←参照 でもイメージプレイ気味(笑)短編「コスプレ店員」より)、ストーカー気味のお姉さんに逆レイプといったエッチもありますが、大半はヒロインさんが様々な形態の恋愛もエッチも両方快活に楽しむエロシーンです。シナリオパートでもあまり存在感のない男性連中ですが、エロシーンにおいても主導権を握るのは女性陣であり、上述の様な強要系でも男性の獣欲はヒロインのさらに深い欲望に飲み込まれます。このことが作品の暗さを弱めることにつながっています。
過剰にはならない程度に乳尻および前後の秘穴を見せつける構図の巧さ、突き抜けた技巧はなくとも安定しているコマ展開などもエロの魅力を支えています。ただ、質が高くともエロの分量がどうにも不足気味であり、個々のエロシーンでの実用性にやや難があります。たまにエロシーンを分割投入する構成も×。
ページ数的に仕方ない面もありますが、前戯の分量が乏しく即挿れ気味なのもさびしい所です。飛び散る汗や汁の表現や、派手さはなくともじっくりと性感を味わっているヒロインの表情はいい味付けです。
ほぼ仕様の中出しフィニッシュは、1P〜ほぼ見開きで迫力を以て描かれますが、見開きでの見せ方は(難しいと思うのですが)もうちょっと見やすい構図・配置にして欲しい所です。
白濁液噴出の勢いは乏しいながら、トロリと膣内を満たしながら漏れ出てくる白濁液はなかなかエロチック。
シナリオにしてもエロにしてもちょっぴり効かせた変化球が面白く、ヤルだけで面白みのないエロコメとは別の水準にあるのは確かです。巨乳さんもエロ可愛く描けているのでこの路線も是非維持して頂きたいと思います。
ただ、エロ・シナリオ両者共にもうちょっと読み応えがあるともっといいなぁと思うので、その辺り次回作では改善をお願いしたい所。
椿十四郎『実姉双姦ルート』
おでんが美味しい季節になって参りました。自分で作るのもいいし、帰りにコンビニで買ってもよし。暖まります。がんも、大根、蒟蒻、はんぺん、昆布巻き、ちくわ、薩摩揚げetc、あぁ、一杯やりたくなってきました。
さて本日は、椿十四郎先生の初単行本『実姉双姦ルート』(ジーウォーク)のへたレビューです。双姦という言葉にあまり馴染みがなくどういった意味合いで使っているのかちょっと興味があります。
タイトルに偽りなく、実姉とのエッチのみで構成された思い切りのよさを評価したい作品集です。
収録作は全て短編で9作。1作当りのページ数は18〜22P(平均19P強)と中の下クラスの分量。
実姉一本やりながらも、シチュエーションやシナリオの味付けにはバリエーションが付いており、多様な作風が味わえるのは魅力ですが個々の短編の読み応えは軽い傾向にあります。
姉の友人がお話とエロに絡んでくる短編「お姉ちゃんトモ!?」を除けば、姉と弟に閉じた恋とエッチの模様を描き出します。
エロ的な意味も含め積極的にスキンシップを図って来るお姉ちゃんを描くコミカル&快楽的な作品もあれば(←参照 短編「ミスティックナイト」より)、優秀な姉との間に空いてしまった距離がふとしたキッカケで一気に縮まる短編「錠が開くもの」、若さゆえに暴走する弟君の性欲とそれを受け入れる姉そしてその結果迎えるブラックなラストが面白い短編「Closed」など、エロのシチュエーションの味付けは様々。姉キャラオンリーということもあり、ヒロイン側がエロ行為に対して積極的な感が強く、短編「弟に夢中」や「ミスティックナイト」、「とらないでマイブラ!」などではエロも含めて弟を手玉に取るお姉ちゃんが登場しますので、姉キャラに支配されたい願望をお持ちの貴兄にはなかなかストライクと言えるでしょう。
とは言え、シナリオ的には完全にエロへの導入とシチュエーションの味付けに終始している感があり、やや漫画としての楽しさを希薄にしています。
同級生の女の子が来宅し弟の貞操の危機を察した姉がクラスメイトの女子を追っ払い、アグレッシブな誘惑を仕掛ける短編「とらないでマイブラ!」(←参照 セルフ胸タッチ!)や、演劇部の姉と演劇用衣装を使ってのイメージプレイな短編「ヒロインレッスン」、罰として女装させられた弟キュンがお姉さんたちに弄られまくる短編「お姉ちゃんトモ!?」など、シチュエーションのアイディア力は認められ姉モノとしての魅力を高めています。強気な姉が骨折して弟の介護を受ける短編「ケガのこーみょー」のお姉ちゃんの戸惑い方などは白眉の出来。しかしながら、心理描写の見せ方や恋愛劇としての展開力には欠けている印象も強く、設定的には面白いものを感じさせる短編「UWAGAKI」や「錠が開くもの」などのシリアス要素を含む作品では特に作劇の物足りなさが目立ちます。
後書きを読むとよく分かる椿先生の姉キャラへのこだわりは個人的には作品を通してしっかり伝わりましたし、評価させて頂きたいのですが、姉およびその姉への想いをそのコダワリと釣り合いを持って魅力的に描くにはさらなる研鑽が必要かなぁとも思います。応援しております。
初単行本と言うこともあり、試行錯誤の結果として絵柄のタッチは多少変化しています。
近作になるほど描線が太くはっきりと変化していく傾向が見て取れ、最近作の短編「ヒロインレッスン」ではなかなかキャッチーな絵柄になっています(←参照 エルフの女王×捕虜の剣士という設定でイメージプレイ中)。ヒロイン陣はミドル〜ハイティーンの美少女さん達ですが、胸も軒並み普通サイズ・股間はエロ漫画的な脚色に乏しい真の意味でのリアル系(薄めの陰毛アリ)と、強烈なセックスアピールや萌え要素は乏しい現実的なキャラデザです。性格的には弟大好きなエロ漫画的に王道なお姉さん達ですので、両者のちょっとしたギャップが個人的にはむしろ美味しいです。
なお、弟君の包茎チ○コ率は高め。なんか、チ○コ描写に不安感がありますが、さして気にすることでもないかなぁと。
各作品のページ数とシチュエーションを魅せるために導入パートにある程度分量を割いていることもあり、必ずしもエロのボリューム感が強いとは言えません。
テンションが上がりまくった姉の挑発的な台詞がかなり良かった「ヒロインレッスン」以外では、煽情性を増そうという意欲は見えるものの言葉遣いが上滑り気味なのはマイナス評価。
年上の余裕を魅せ付けていたヒロインが(←参照 短編「弟に夢中」より)、弟君の一心不乱のピストン運動に陥落していく様子はなかなかエロチックであり本作におけるエロ漫画としての生命線となっています。男女ともに全裸になるケースが多く、姉弟の様々な形の肌の触れ合いとしてセックスを描くのは好印象ですが、体の動きのダイナミクス、行為の体温感の表現は今一歩。中出しが基本仕様のフィニッシュシーンも中ゴマ主体で、白濁液の勢いも描出できておらずやや迫力不足。
エロ的にぐっとくるコマも少なくないので、姉スキーには抜ける水準にはありますが、がっつり抜きたい作品をお探しだとやや苦しいかなと言う感じです。
エロの方向性や絵柄に関して色々とトライしていこうという意気込みはしっかりと伝わり、今後姉モノにしろそれ以外にしろ先生なりの道が開けていくだろうと強く期待しています。
先ずは初単行本としてエロ漫画界に一歩を踏み出しましたが、これが偉大な軌跡の第一歩となることを楽しみにしています。





