歌麿『アクマで婚カツ!』
TVアニメ版『這いよれ!ニャル子さん』第6話「マーケットの中の戦争」を観ました。なんという熾烈な(ゲームハード)戦争・・・!今はゲームハードから撤退した某社のことを思い出さずにはいられませんな。あと、謎の“濡れ場”推し。あと、なんかAパート長いなぁとか思ってたら、なんですか、この取って付けた様な水着回+温泉回という定番サービスは!いいじゃないですか!
さて本日は、歌麿先生の『アクマで婚カツ!』(キルタイムコミュニケーション)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『遊郭部へようこそ!』(コアマガジン)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
たっぷり巨乳な悪魔っ娘ヒロインが選り取り見取りな棚ボタハーレム展開なエロエロラブコメが楽しめる1冊となっています。
収録作は、魔王の魂が転生した主人公をお婿さんにしようとソロモン72柱の化身である美少女達が押しかけ、主人公を巡ってバトルを繰り広げるタイトル長編「アクマで婚カツ!」全8話(←参照 本作の正ヒロイン・アスタロトさん 同長編第8話より)+ボテ腹なアスタロトさんとラブラブHな描き下ろし後日談掌編4P、および読み切り形式の短編「フィアトルクス」。描き下ろし後日談を除き、1話・作当りのページ数は12~24P(平均19P弱)とやや控えめ。長編作は十分なボリュームを擁していますが、重厚なドラマ性よりも読み口の軽さとエロの充実感に集中した構築となっており、読みやすく使いやすい1冊という印象。
【エロ漫画的ご都合主義で貫徹するハーレムラブコメ】
成人向けでの前単行本、前々単行本はコアマガジンからの出版であり、久しぶりのキルタイムからの単行本となりますが、ファンタジー要素が絡んでくることを除けば、メガストア系列での作風と骨組みは共通しており、お気楽な棚ボタハーレム展開を開陳。
主人公のことを主と慕う悪魔っ娘剣士・アスタロトさんを皮切りに、主人公のことをお婿さんに狙う6人の美少女魔人達(+アスタロトさんの部下なくのいち悪魔っ娘)が次々と出現してドタバタコメディ&バトルを巻き起こしていきます。
一応は戦闘描写などもあるものの、バトルの苛烈さや対立関係のシリアスさを描き出すことはほとんどなく、主人公を巡ってのエロバトル3Pセックスなども含めて、あくまでコメディとしての楽しさと多数の美少女達に愛される幸福感が追求されていると言えます(←参照 “どっちの方が気持ちいい?(はあと”的なアレ 長編第6話より)。終盤手前までは良くも悪くもダラダラとした展開で、ドタバタ系ハーレム展開に幸福にゆったり浸らせてくれますが、終盤では人類壊滅と主人公の独占を狙う凶悪な敵キャラクターが出現し、その苦難を乗り越えることで主人公とヒロインが結ばれるという展開を描いて一応締めるべき終盤は締めているとは言えます。
もっとも、この悪役的なキャラクターとはあっさり決着を付けて、後は嫁になったアスタロトさんとたっぷりラブラブH&他の魔人さん達ともぬっぽり大乱交というイージーネス大爆発の展開を迎えて終幕となるため、シリアスさが多少なりとも目立つシーンはごく僅かで、あくまで快活でお気楽なラブコメディとして貫徹していると言えます。
エロ漫画的ご都合主義極まれりと言った作品構築ですが、この人数を用いてのファンタジー系ハーレム作品としてむしろ正道ド真ん中のスタイルと言え、複数ヒロイン制の賑やかさやエロのゴージャス感をよく引き立てる作劇となっています。
【ボリュームたっぷりの巨乳をお持ちな悪魔っ娘達】
短編「フィアトルクス」の褐色肌悪魔っ娘さんも含め、全ヒロインが悪魔っ娘という徹底ぶりであり、翼や角が生えていたり、興奮すると尻尾が生えてしまったりと人外キャラクターであることも明確に示しているのも好事家にとってはむしろ○。
悪魔ではありながら、前述したごく一部の悪役を除けば、皆さん基本的に善良な性格であり、真面目だけど主人公にはエロ的に甘えるアスタロットさん、負けず嫌いなお邪魔キャラだけど根は純情乙女なアスモデウスさん、大人しい性格の天然ドジっ娘なハルファスさんなどなど、それぞれキャラクター属性を明確に分けています。
長編作ではあくまでアスタロトさんがメインであり、その他のサブヒロインについてはキャラクターによってシナリオ面やエロでの登場頻度において扱いの差はあります。とは言え、複数人エッチも頻度高く登場するのに加え、全ヒロインに濡れ場は用意されているのは安心材料。
ヒロインの登場人数の多い長編作では、キャラクターによって肢体造形にある程度の差を付けており、爆乳お姉さんや貧乳寄りのロリ体型、ふたなりヒロインなども登場していますが、基本的にはもちもちと柔らかい弾力感を誇る巨乳を備えるヒロインが主力であり、尻や太股も含め肢体全体に肉感の強さを感じさせるボディデザインとなっています(←参照 褐色悪魔っ娘さん!! 短編「フィアトルクス」より)。また、悪魔っ子という一つの属性に固定しながらも、褐色肌やメガネ、個性的な髪型や各種衣装など、細かい面でも視覚的な多彩さを意識しているのは多人数ヒロイン制としての美点。なお、大半のヒロインが(悪魔なのに)処女であるのも、前述のご都合主義をいい意味で増幅して、棚ボタハーレムの幸福感を強化しています。
初出時期がやや開いているため、長編作の第1話と最終話の間にタッチの違いを少々感じますが、減点材料になるような水準ではなく、キャッチーなアニメ/エロゲー絵柄を表紙絵と同水準で安定させて、ヒロインのキュートネスとゴージャスエロボディの煽情性を魅力的に描いています。
【飽和感のあるエロ演出と女体の存在感で魅せるエロシーン】
言うまでもなくエロメインの構築であり、コスプレH的な趣向が多いものの、その重量級おっぱいを景気良く曝け出して汁だくファックが連続する、実にがっつりとした特盛りおっぱいエロが楽しめます。
全ヒロインにエロシーンを用意する仕様上、エピソードによってはエロシーンが分割構成になり、アスタロトさんとのHの前座扱いになってしまうキャラも存在しますが、その場合でも快楽曲線の減衰はあまり無く、エロシーンのボリューム感はしっかり維持されています。
なお、二人のヒロインを同時に相手にする3Pセックスもちょこちょこ登場しており、そもそも肢体の肉感が十分であることもあってエロのゴージャス感は十二分。ちなみに、終盤における計7人のヒロインとの乱交とか、野郎キャラが1人なのに無理では?とお思いかもしれませんが、そんな場合は主人公が3人に分裂してお相手するので無問題!というご都合主義仕様なので安心されたい。
巨乳関連の描写やプレイを武器とする作家さんであるため、ピストン運動に併せての派手な乳揺れや母乳噴出、ち○こをすっぽりと谷間に収納する巨乳・爆乳パイズリなどなど、おっぱい星人にとって嬉しい演出・行為を散りばめているのが特長の一つ(←参照 母乳を噴出しつつの乳揺れ 長編第2話より)。このおっぱいの存在感は強固ですが、結合部の見せ付け構図を多用することもあって太股を中心とした下半身の肉感も比較的目立つことが多いと言えます。更に、ニプルファックを投入したり、脇コキやアナルセックス、WパイズリやW素股など、プレイ内容も様々で手数で押せる部分もある上に、豊潤な液汁描写やハートマーク付きの白痴系エロ台詞の連呼など、飽和感の強いエロ描写となっているのも実用面での強みでしょう。
前戯パートではパイズリや脇コキニプルファックなどでヒロインの顔面や胸の谷間にたっぷりぶっかけつつ、抽送パートではヒロインの肉感ボディを快楽で蕩け切らせて膣内や直腸内にたっぷり子種汁を注ぎ込んでの絶叫アクメなフィニッシュシーンを設けており、抜き所が豊富な複数ラウンド制であるのも実用面における美点となっています。
お得意のハーレム展開を爆走しながら、そこはキルタイム系での作品らしくファンタジー要素の意匠を凝らしており、それ故に一層輝くエロ漫画的ご都合主義がむしろ嬉しい作品と言えるでしょう。そして、充実のおっぱい要素もまた魅力。
長編作も、特にアスモデウスさんがキャラクターとしても大好きですが、実は褐色肌悪魔っ娘に惹かれて短編「フィアトルクス」が最愛でございます。
桃色卍流『まんじるとろとろ』
友人にTVアニメ『シャイニング・ハーツ-幸せのパン-』は(色々な意味で)面白いから是非観るべしと言われ、原作知らないままに観たのですが、何ですかこの中毒アニメは!(主にパンとエンディング的な意味で)。いや、でも、第5話は使い魔のそるべぇ君が報われて普通に良い話だったのではないでしょうか。前回の伏線がどうなったかはともかく。
さて本日は、桃色卍流先生の2冊目『まんじるとろとろ』(ヒット出版社)のへたレビューです。前単行本はスルーしてしまったので、今回当方のレビューでは初登場となりますな。
朗らかな雰囲気の中で繰り広げられるキュートな美少女・美女との汁だくラブラブHが詰まった1冊となっています。
収録作は、嫁さんの実家に帰省したらそこで待っていた嫁さんの双子に(性的な意味で)襲われてそこから始まる3Pバトルな日々を描く連作「よめ×よめ NIGHT」「よめ×よめ DAYS」(←参照 挿入している方が未婚な双子さん 連作前編「よめ×よめ NIGHT」より)、および読み切り形式の短編9作。前単行本の宣伝漫画である短編「ひとづまんじる」およびフルカラー短編「ひみつのおまじない」(共に8P)を除き、1話・作当りのページ数は16~28P(平均21P弱)と標準的なボリュームで推移。柔らかい読み口と、重過ぎもせず軽過ぎもせずなエロ描写とでバランス良く仕上がった作品構築となっています。
【愛情の幸福に包まれたラブコメ・エロコメ】
収録作の傾向は大まかに言えば明るい雰囲気のラブコメディ・エロコメディ系統であり、程良いコミカルさの打ち出しとラブエロ系としての読み口の良さや滑らかさが身上。
悪の組織と正義の美少女能力者の(エロ的な意味でも)バトルを描く短編「MUTANT AFFAIRS」は阿吽掲載作らしい漫画チックな設定のエロコメ系ですが、本数的な主力は現代日本の日常を舞台にした少年少女の青春ラブ・アフェアや夫婦の性生活を描くラブエロ系となっています。
その中でも、既に子持ちな夫婦がお子さんに隠れつつエッチに励む様を夫婦関係をそれぞれ対比的に描いた短編2作「ツンツマ」「でれよめ」や、弟の嫁さんを籠絡して不倫Hな短編「俺の妹・俺の嫁」、嫁さんとその双子の姉妹と3Pセックスに励む連作「よめ×よめ」など、家族関係を軸としたシナリオが多めなのが特徴と言えます。
寝取り/寝取られ的な要素があったり、ちょっぴり嗜虐的なプレイを絡めたりもしますが、その様な場合でも夫婦関係や家族関係に負の影響が出ることなく、皆が幸せになる様にハッピーエンドへと導く優しさが温かい読後感を生じさせているのも特筆すべき魅力でしょう(←参照 川の字になって 短編「ツンツマ」より)。ドジっ娘な変態美少女が登場したり、恋のおまじないとして鹿角オナニー(読んで頂かないと意味不明でしょうが)を敢行する頑張り屋さんが登場したりと、ユニークなキャラを登場させ手の青春ラブコメでもこのハッピーエンドの魅力は共通しており、にっこりできるまとめ方となっています。
どちらかと言えば、エロシーンが大半を占める作品構築であって、シナリオ単体での魅力は強くないですが、登場人物達の睦み合いがエロの魅力は勿論、作品全体の心地良さを形成しているのは間違いなく美点と言えるでしょう。
【ふんわりとしたキュートネスで魅せる美少女・美女】
ヒロイン陣の主力は20代前半~20代後半程度と思しき嫁さんキャラクターか人妻キャラクターであり、そこに数名の女子高生キャラクターが加わる陣容となっています。
経産婦である奥様ヒロイン達も多数登場していますが、皆さん若々しい容姿であり、ミドル~ハイティーン級の美少女さん達と比べても可愛らしさに然程遜色がないキャラデザなので、熟女としての色彩が強いキャラデザが苦手な諸氏でも安心して楽しめます。
ツンデレタイプの奥さんや、エロエロ美女、変態系暴走娘に流され系人妻などなど割合にオーソドックスなキャラクターを用いていますが、エッチの最中も含めて彼女達の喜怒哀楽がチアフルに、時にリリカルに表現されているのがキャラクター描写における強みと言えます。
年齢設定に併せて肢体造形を固定することはあまりなく、ちんまくて貧乳なロリボディ嫁や(←参照 和服がまだ貧乳との組み合わせで良し! 短編「俺の妹・俺の嫁」より)、スレンダー巨乳な人妻さん、健康的な肉付きの巨乳美少女などなど、ボディデザインは様々。なお、ふにふにと柔らかな巨乳を中心に肉感は相応にありますが、どちらかと言えば肉付き弱めの女体であり、読み手の保護欲も掻き立てる華奢さも感じます。最長で初出時期が約4年と開いているため、絵柄の統一感はやや弱めであり、おそらくアナログ絵と思われる過去の絵柄と、デジタルツールの導入で描線の細やかさが増した近作の絵柄ではかなり印象が異なることには要留意。
とはいっても、ほとんどの絵柄は後者のタイプであり、少女漫画チックな修飾性の高さで華やかさを持たせつつ、アニメ/エロゲー絵柄的なキャッチーネスを以てヒロイン達の可愛らしさをよく抽出しています。
【エロの陶酔感と粘液描写の煽情性で魅せるラブエロ描写】
基本的にエッチすることそのものがシナリオを構成しているといっても過言ではなく、それでいて“犯るだけ漫画”になっていないのが特徴でありつつ、無論エロ描写はたっぷりご用意。
お子さんにバレるかもしれない羞恥系プレイや、双子との3Pセックス、ほんのり嗜虐性を施した寝取りエッチなど、作品によって味付けを変えていますが、ソフト凌辱な短編「MUTANT AFFAIRS」を除けば恋愛セックスとして描かれており、甘い幸福感と朗らかな快楽全能主義で読み手の脳髄を麻痺させるスタイルとなっています。
単行本タイトルは伊達ではなく、前戯パート・抽送パートにおいて液汁描写をたっぷりと投入しており、涎をたっぷり塗したフェラで白濁液をお口いっぱいに出したり、黒茂みが濃く生える股間では秘所から愛液がトロトロと流れ出したり、そこをピストンすればぬめった水音を豊かに奏でたりと、決して多量の描き込みではないながらも粘膜のヌルヌルとした質感を強調することで実用性を強化してきます。
また、過去の作品に比べ、結合部のアップ構図や断面図描写などにおいて粘膜描写の淫猥さが大きく増しているのも長所であり、たっぷりの液汁を潤滑油として男女双方が下半身を振り合うことで両者絶頂のフィニッシュシーンへと進行。
比較的小さめのコマを多く切った画面構成をするため、情報量が多いものの、個々の描写でインパクトの弱さを感じさせるケースもありますが、豊富な擬音や快楽や羞恥に多彩に変化しつつ蕩け切った表情へとなっていくヒロインの表情、ハートマーク付きのおねだり台詞などの演出面でエロのアタックを引き上げています(←参照 瞳の表情が大変に秀逸 短編「ないしょしよ」より)。前戯パートでの射精シーンの投入や、抜かずの2連発展開、前穴セックスに続くアナルセックスへの進展等、複数ラウンド制を標準搭載しており、手数の多さに依るドライブ感やエロのゴージャス感なども魅力となっています。
概ねタイトルから想起される通りの内容であり、ねっとりたっぷりラブラブHが楽しみたい諸氏には福音たる1冊。しっかり仕えて読後にほっこりというタイプですな。
個人的には、ママさん3人とのハーレム?Hが楽しめる短編「空手少年部のお母さんといっしょ❤」と、変態ドジっ子アホ娘が大層可愛らしい短編「ないしょしよ」に愚息がお世話になりました。
山崎かずま『美少女謝肉祭』
タスクオーナ先生(原作:米澤穂信氏 キャラクター原案:西屋太志氏)の『氷菓』第1巻(角川書店)を読みました。アニメ版でも同様のことが言えますが、僕としては千反田さんのおっぱいの方が気になります!巨乳じゃないですが柔らかおぱーいと推理。管理人の妄言はともかくとして、ユニークな演出が光るアニメ版に対してこちらの方は作画面ではより正統派という印象で、感情や意識の変化などをより丁寧に織り込んでいると感じます。
さて本日は、山崎かずま先生の『美少女謝肉祭』(エンジェル出版)のへたレビューです。なお、先生の前単行本(初単行本)『プチチチズム』(オークス)のへたレビューもよろしければ併せてご参照下さい。
ほんのり妖しさをアクセントにしつつ甘美な雰囲気の中で美少女達の柔らかボディを満喫できる作品集となっています。
収録作は読み切り形式の短編9作+描き下ろしの新作短編「少女シンドローム」。描き下ろし短編も含め、1作当りのページ数は16~24P(平均20P強)と標準的なボリュームとなっています。
重厚な作劇ではない一方で、奥行きや余韻のある作品構築が為されており、なかなかに読ませるシナリオであるため、読後の満足感は十分。また、ページ数に見合った分量でヒロイン達の蕩ける痴態を鑑賞可能な優良抜きツールでもあります。
【ほんのり妖しさや寂しさを香らせる甘美な少女達との物語】
抜き特化の基本路線を堅守しながらも掲載作の方向性に多彩さが出来てきたエンジェル倶楽部において、この作家さんはその新風を代表する作家であり、抜きを重視しつつも落ち着いた語り回しや明暗の雰囲気作りの上手さで魅せるタイプ。
作風の骨組みとしてはオーソドックスなラブコメ・エロコメ系統や青春ラブストーリーを用いており、比較的入り込みやすいスタイルであるのは確かですが、安直なテンプレ展開に陥ることはまずなく、ヒロインの魅力を引き出しながら独特の空気感を形成して読み手の意識を引き込んでいきます。
特にヒロイン側の表情付けで表現することが多いですが、甘いおねショタ系ラブエロ模様に離別の惜別を香らせてみたり(短編「少女イノセント」)、幼馴染の少年少女の初エッチという状況にヒロイン側の“一枚上手”なほの暗さを描き込んでみたり(短編「少女トラップ」)、少女とフタナリ少女の秘められた妖しい関係を描いたりと(←参照 この表情がまた 短編「こいびと」より)、幸福な関係性を描きながらもそこに少女達の蠱惑や揺れ動く感情を込めることで複雑な味わいを作り出しています。そういった妖しさや惑いを織り込まず、明るく楽しくエッチといった趣向の作品もありますが、いずれにしてもシナリオ展開の主導権を握っているのは女の子達であり、男性にとって都合のよい面を持ちながらも決して男性達の思い通りにはならない存在として描かれているのが特徴でしょう。
美しい少女達との性愛を受容する甘美さを基調としながら、同時に彼女達に囚われる戸惑いもまた含まれており、両者の混和を認識しながらそれでも相手に溺れる流れはちょっと退廃的な魅力を有していると評したいところ。
日常劇以外にもファンタジー作品や和風エロ、ヒロインの純粋性が迷走してしまうシリアス系など、話の引き出しも非常に豊かであり、いずれの形式にしても展開に強い個性がない一方で、深みのある雰囲気作りとヒロインのキャラクター描写の強い魅力が共通しています。
【ハイセンスな絵柄で描かれる魅惑的な美少女さん達】
短編「デンキヤサン」に登場するお姉さんキャラのみ20歳前後程度と推定できるものの、その他のヒロインは概ね女子高生級と思しきティーン美少女達。
前述した通りに、男性にとってちょっと謎めいた部分を持つ女の子達が描き方としての特徴であり、ヤンデレ系の女の子や変態チックな欲望を持つ美少女さんを分かり易い例としつつ、あくまで香らせる程度に留めることでむしろ二面性やアンビバレンツか感情を引き立てるケースも目立ちます。
肢体造形に関しては、全身に程良くデフォルメを効かせて女性らしい丸みを重視するスタイルであり、肉感を打ち出しながらもそれらが濃過ぎたり重過ぎたりすることはなく、端正さな美しさや健康的な印象、オサレ感もしっかり含んでいるのが持ち味。
和服やセーラー服などの衣装を登場させつつも、エロシーンでは敢えて全裸にしていく展開が多く、巨乳や桃尻を中心にたっぷりと纏われた柔らかお肉を視覚的にも感触的にも楽しめる様に設計されており、程良く柔肌の体温感を感じさせるのも大きな魅力でしょう(←参照 和装ポニテ美少女のたっぷりおっぱい 短編「風凛華斬」より)。黒ベタやグレースケールの用法が印象的ですが、絵として重くなることはあまりなく、ふわっと軽やかな描線で魅せるタイプ。アニメ/エロゲー系の絵柄と共通するキャッチーさや煽情性を有しつつ、健康的なタッチや独自の美的センスを感じさせる絵柄であり、個人的に言えば鳴子ハナハル先生の手法に近似したものを感じます。
華やかにして官能的な表紙絵からもよく伺えますが、少女漫画チックなトーンや花柄を背景に散らしたりと、個々の絵やキャラ描写に1枚絵としての魅力が十分に高いのはイラストレーターとしてのキャリアもあるからでしょう。
【快楽に蕩ける柔らかボディを主観構図でたっぷり描写】
パワフルなハードコア・エロが身上のエンジェル倶楽部連載陣においては、どちらかと言えばエロは大人しい印象があったものの、単行本として独立してみれば十分にアタックの強いエロ描写であり、前述した通りに十分な尺で美少女達の痴態を楽しめます。
特殊なプレイやエロとしてのフェチっ気はあまりないですが、同時に基本的要素を高質に描き出すスタイルであり、前戯パート・抽送パートの双方においてヒロインの柔らかもちもちボディを楽しめるように設計されており、先ずは前戯パートにおいてたっぷりおっぱいでのパイズリ描写(←参照 金髪デコ娘 短編「アンジーにおまかせ」より)や乳揉み、はたまた熱い唾液がトロトロと分泌されるお口でのフェラチオなどで1回目の射精に導いていきます。各種の擬音を散らしたり、エロ台詞の連呼で十分なアタックを生み出すエロ演出を維持させつつ、構図に関して派手なものを連発するタイプではありません。とは言え、ヒロインの肢体の存在感や柔らかい質感を重視するエロ描写となっており、挿入パートでも結合部描写をある程度重視しつつ、おっぱいやお尻などを揺らしたり揉んだりでヒロインの肢体を内からも外からも味わうのが特長でしょう。
また、男性の視点からの主観構図を多用するのも大きな特徴であり、快感に蕩けていゆく美少女達の表情や肢体をたっぷり見せ付ける機能を有していると共に、行為の臨場感やそこへの没入感を強く意識するエロ作画であるのは実用性の向上に寄与していますし、また作劇スタイルとも親和性が高い手法。
大股開きでの結合部見せ付け構図は多めに用いますが、断面図や透過図はほとんど用いず、また結合部アップの構図は小ゴマに留めて性器描写にあまり重点を置いておらず、大ゴマをしっかり活かす適切な画面構築の中で、涙や涎で濡える蕩け顔やキュッと瞳を閉じる表情やピストンに併せて揺れ弾み、また緊張と弛緩を繰り返していく女体を描写の中核としており(←参照 こちらは“緊張” 短編「レッドキャップ」より)、直接的なエロさのアピールをある程度担保しつつもヒロインの美しさを強く維持させるスタイルとも言えるでしょう。前戯パートに射精シーンが無い場合では中出し2連発を敢行するなど、抜き所は豊富に設けており、すっかり蕩け切った表情と台詞を曝け出す美少女達の膣内に白濁液をたっぷり注ぎ込んで両者KOなフィニシュシーンを十分なダイナミックさと喜悦の高揚を以て描き出しています。
近年のエロ漫画ジャンルにおいて、演出面を中心としたハードコア感や読み口の軽さ・楽しさが追求されてきた流れがあるのは確かですが、その路線とある程度歩調を合わせつつも、作劇・作画面でまた異なる方法論の追求が様々に生じている印象が個人的にはあり、この作家さんはその好例と言えるでしょう。その意味で、このジャンルの未来に色々な可能性を示してくれる新世代の作家として強く期待したいところ。
個人的には、剣では勝てない相手にエロ面では圧倒するエロ美少女剣士が魅力的な短編「風凛華斬」が抜き的に、台詞・モノローグの語り回しの巧さとヒロインのキャラクターの描き方が秀逸な描き下ろし短編「少女シンドローム」がシナリオ的にそれぞれ最愛でございます。お勧め!
ドバト『じゅうよん。』
椎名軽穂先生の『君に届け』第16巻(集英社)を読みました。三浦君の言う通り、風早と爽子は“似てる”んですよね。お互い相手を思いやりながらも、それを言葉として上手く表現できない故に大事なところですれ違うところがあるという点で。もっとも、それでもそのすれ違いを純粋な気持ちで乗り越えられると信じられるが故に、周囲の友人たちもそれを後押しするのでしょうなぁ。
さて本日は、ドバト先生の『じゅうよん。』(ヒット出版社)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『純愛以上レイプ未満』(オークス)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
少女達の恋と性を個々に魅力的で多彩なストーリーテリングで描き出す作品集となっています。
収録作は、小生意気なJCビッチと酔った勢いでセックスしてしまったらしいものの主人公(キモオタ・元童貞)には全く記憶が無く・・・?な正続編連作「ジゴゴゴ」「ジゴゴゴゴ」(←参照 二日酔いの頭痛で起きたらこの状況 同連作正編「ジゴゴゴ」より)、および読み切り形式の短編6作。1話・作当りのページ数は20~28P(平均24P)と十分なボリュームで推移。非常に読みのリズムが良い一方で、読み応えをしっかりと生み出すシナリオとなっており、またそれを組み合わさることで十分な尺のあるエロシーンの満足感もより高まる作品構築となっています。
【大人と子供・強さと弱さの入り混じる少女達】
短編「女王様プレイプレイ」に登場するペドっ子ちゃんを例外としつつ、各作品のヒロインはローティーン級の美少女達であり、表紙絵や単行本タイトルから想起される通りに中○生ヒロインを主力とするヒロイン陣となっています。
無垢な子供ではないが大人でもないこの年齢層の少女達の感情表現は、後述するストーリー面で非常に重要な役割を担っており、彼女達自身が自身の恋愛感情や性的好奇心と如何に向き合い、その複雑なものからの囚われを如何に解消していくかがシナリオの軸となっているとも言えます。
生意気JCやお嬢様ヒロインなど、ある種の定番を踏襲したキャラクター造形を踏襲しつつ、キャラクターの描写が決して薄く平板にならないのはこの作家さんの大きな魅力であり、少女達の不器用さと素直さ、清い純粋さと直向な欲望、そして人としての強さと弱さが複雑に入り組んだキャラクターになっているのが実に魅力的。
また、主人公の男性達に関しても、このヒロイン達に振り回されるだけの存在ではなく、彼女達の内面と彼らの内面が徐々に呼応していき、ヒロインのキャラ付けのユニークさもあってある種“遠い存在”であった二人が、年齢や性別、時には人と機械の垣根を越えて、“似た者同士”として結ばれていく描き方となっています。
肢体造形的には、二次性徴期特有の弾頭型おっぱいを装備させたり、前述のペドっ子ちゃんではかなり等身を押さえたちんまりボディとなっていたりと多少のバリエーションもありますが、全体的に肉付きを押さえた儚げな肢体にほんのり膨らみかけのバストを組み合わせたスタイルで概ね統一(←参照 短編「夏休み残×1」より)。ツルツルで1本筋の走る股間なども含め、ロリ的体パーツを組み合わせつつも、印象として幼さを強め過ぎることはあまりなく、ここらも大人と子供の境界といった印象を強める要素となっています。絵柄に関しては少女漫画的な要素が元々強く、それでいて男性向けとしての絵柄のキュートネスを意識的に強くするタイプなので、悪く言えば少々クドサがあったのですが、今単行本では両者の調合がよくコントロールされており、十分なキャッチーネスと親しみやすさを持ちながら表紙絵と完全互換で安定しているのも大きな加点材料でしょう。
【感情表現とエロ演出で実用性を押し上げるセックス描写】
シナリオとエロを単離させない作品構築であるため、十分なエロ描写を作中に組み込んでおり、ヒロイン達の柔らか儚げボディの感触を外側からも内側からもたっぷり満喫可能な抜きツール。
この作品構築の様式は、エロシーンにおいても特に感情描写に関して、かなり重要なシナリオ描写を差し挟むことを意味しているため、エロシーンではひたすら行為に没入したい諸氏には相応の減点材料になりえますが、濡れ場における要所での感情の炸裂こそが登場人物達の興奮や幸福感を大きく高めるという点において実用性の向上にも寄与する要素なのは間違いないでしょう。
4人の女の子が電車の中でレズセックスに果敢にチャレンジな短編「卒業列車」や、奴隷役の方がむしろ女王様を主導する奇妙な構図を取る女王様プレイを投入する短編「女王様プレイプレイ」といった変わり種もありますが、基本的には男女1対1のセックスであり、激しい行為の中で互いの欲望や感情を曝け出していくことに重点がある性描写となっています。
どちらかと言えば、色々な意味で相手と“結合”することになる抽送パートに比重があるエロ展開であり、前戯パートのねっとり感は薄く、抜き所の多数配置もあまり行いません。とは言え、少女達の性感帯を弄ったり、小さなお口でのフェラがあったり、足コキやオナニー公開があったりと、前戯パートに用いるプレイ内容は様々に用意されています。
前戯パートで適度な助走を付け、ヒロイン達のロリプニま○こに挿入すれば、男性達はすっかりスイッチが入って肉棒をきゅんきゅん締めつける秘所に激しくピストンを加えていき、ヒロイン側もすっかり蕩けた表情でハートマーク付きのラブエロ台詞を連呼することでフィニッシュシーンへと雪崩れ込んでいきます(←参照 連作続編「ジゴゴゴゴ」より)。ヒロインの可愛らしさをしっかり維持させながら、勢いのある擬音や蕩けた台詞回し、透過図・断面図などの比較的アタックの強いエロ演出をふんだんに用いて煽情性を高めているのも特徴でしょう。この陶酔感の強いエロ演出は、しかして彼女達が“幸福”を認識した故に可能となる描き方をすることが多いのも特長であり、それが確認されない場合には嫌悪感や苦痛を伴うものとして対比的に描き出しており、性的快感の表現も含め、エロ展開の序盤と終盤でのヒロインの“変容”が大きな意味を持っています。
【炸裂する登場人物達の感情の愛おしさ】
エロ描写においても重要な役割を担う“幸福”をヒロイン達が恋愛感情や性的好奇心の中で如何に掴んでいくかが各作品に共通する骨子であり、この作家さんがこれまで得意としていた破天荒なドタバタギャグ成分は短編「女王様プレイプレイ」を除いてむしろ控えめとなっています。
実は好きあっていた男性と少女がそれぞれ童貞と処女を捧げる初セックスを敢えて描写せず“事後”から物語を開始する連作や、お嬢様が執事ロボットに仕えるという逆転現象が起きている短編「A:アイ」など、ユニークな設定を用いるのは確かにシンプルな面白さを持っていますが、決して変化球のみとして扱うのではなく、前者ならば記念的な行為ではなく、むしろその後の信頼関係を描くことを、後者であれば相手の立場を経験することで気持ちに気付けることを可能としており、しっかり意味がある設定として用いています。
ユニークな設定での面白さや、時にポエティックな表現で読者の胸をきゅんきゅんさせる語り回しなど、作劇における技巧は間違いなく輝かしい美点ではありますが、この作家さんの最大の魅力はまた別のところにあると僕は考えています。
特殊な設定が生むドタバタ感や不条理感、不器用さ故に複雑にからまってしまった感情のモヤモヤを全て真正面から撃ち払う、ストレートでビビッドな感情表現こそが最たる美点であり(←参照 感情の噴出こそ作劇・キャラ描写の最大の魅力 短編「A:アイ」より)、登場人物達の瑞々しい感情や純粋な欲望が炸裂することで登場人物達の小さな物語が大きくドラマティックに動き出す様は素晴らしいと言う他ありません。主人公の少年が幼さ故にその想いの表現を誤ったことが不幸な結末を生む短編「擦過傷」と他の作品との対比が示す様に、その想いや感情を敢えて口に出すことが登場人物達に“幸福”への道を開かせるのであり、作中で登場人物達が心から叫ぶ、秘めた直向な恋心、恋の幸せ、孤独の辛さ、生と性への希求はいずれも読み手の心を強く打ちます。
大変真摯なテーマを扱いながら決して堅苦しくはならず、作劇的な技巧にも閉じこもらずに真っ向勝負の豪速球をド真ん中に投げ込んでくるこのスタイルは、ロリエロ漫画としても勿論魅力的でありながら、より普遍的な愛の物語として燦然と輝いていると評したいところ。
元より非常に優れた個性を有する作家さんであり、オークス時代の2冊の単行本も優れた作品ですが、ヒット移籍後はその魅力に更なる進化を示した印象が強く、3冊目にしてその真価を大いに発揮した感があって本当にお見事な傑作短編集。
全作品愛していますが、強いて1作選べと言われればクリスティーンお嬢様が実に愛おしい短編「A:アイ」を推したいところです。お勧め!
こんちき『おいでませ にゃんにゃん』
TVアニメ版『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』第6話「ちゃうねん、勝てててん」を観ました。あぁ、もう、トモノリは実に乙女で可愛いですなぁ。巨乳だし!(おっぱいは正義やん・・・)大先生も何か企んでいる様ですし、クリスちゃんも妙な雰囲気を出していますし、ストーリー面でそろそろシリアスな方向へ舵を切っていくんでしょうかねぇ。個人的にはずっとドタバタコメディでもいいんですが。
さて本日は、こんちき先生の(成年向け)初単行本『おいでませ にゃんにゃん』(ワニマガジン社)の遅延へたレビューです。“山田秀樹”名義での『魔乳秘剣帖』で有名な作家さんですね。個人的にはそっちで知っていて、快楽天での初掲載作を知った際には「おお!」と思ったのですが、その後あまり載ることはなく正直成年向けでの印象が薄かったものの、やっとこさの成年向け初単行本ということで嬉しいところ。
生活感や日常感を大事にした雰囲気の中でピュアな性欲が弾ける快活なラブエロ漫画が詰まった1冊となっています。
収録作は、主人公のサラリーマンがひょんなことから捨て猫と女の子を“拾う”ことになり、自室には彼女の友達である女の子も通うようになる「おいでませ」シリーズ全3作(←参照 猫タイプの女の子と子犬系の女の子 同シリーズ第2話「おいでませ わんにゃん」より)、および読み切り形式の短編6作。なお、全ての作品に2Pのおまけ掌編が描き下ろされています。1話・作当りのページ数は16~24P(平均22P強)とコンビニ誌としてはボリューム感の強い方であり、単行本としてもかなり厚さがあります。どちらかと言えばテンポ良く読ませるスタイルであり、エロ描写に質的なボリューム感が強くないこともあって、ページ数の割にはサクサクと読めるタイプと個人的には感じます。
【愛すべきキャラクター達の織りなす青春ラブエロ物語】
帯にやたらと刺激的な売り文句が並ぶものの、作風的にはかなり穏やかな雰囲気を有するタイプであり、実用性をある程度担保しつつもシナリオとエロを絡めた作品全体としての魅力で勝負するタイプ。
怪談の体を取りつつ雪女の哀しい想いとその救済を描く短編「吹雪に待つ女」を例外としつつ、現代日本を舞台として会社員やら大学生やらの恋とエロの物語を描き出しており、そこに漫画チックな誇張は勿論あっても、彼ら彼女らの感情や欲望が等身大なソレとして描かれているのが魅力でしょう。
タイプが異なる女の子二人とハーレム状態になる「おいでませ」シリーズや、宅配便のお姉さんが荷物を破損させたお詫びに中身のエログッズを使ってセックスしてくれる短編「おとどけ❤快楽便」など、棚ボタ感の強い作品もありますが、男性キャラクターにとって都合の良い存在が出現するというよりかは、女性キャラクター自身の意志や感情により重きが置かれているのが特徴と言えます。
これに対して野郎連中もただ状況に流されるのではなく、お馬鹿であったり意地悪であったりしても、ヒロイン達とエロ的にもラブ的にも幸せになるために一生懸命な姿を見せてくれるのもなかなかに爽やかな雰囲気を生み出しており(←参照 彼女とおっぱいへの想いで前者が勝った主人公 短編「やわらか彼女モミタイナ」より)、また登場人物達のちょっと“駄目”なところを魅力的に描き出せる能力も◎。漫画ファンタジーとしての面白さよりかは、感情移入のし易さや登場人物への親近感などで魅せる青春模様と言え、この作家さんの作品で言うならば『魔乳秘剣帖』タイプではなく、短編集の『とある女子大生の日常にみる』タイプと言えるでしょう。
もっとも、悪く言えば少々地味な作劇スタイルではあり、コメディとしての微笑ましさがしっかり打ち出されるのに対して、恋愛エロとしての甘ったるさや幸福感は強くない、というか現実的なサバサバ感さえあるので読み手によっては好みが分かれるかもしれません。
【いい意味で“野暮ったさ”のある女体描写】
短編「吹雪に待つ女」に登場する雪女さんは年齢不詳ですが、コンビニ誌の制約もあって、その見た目の年齢も含めて20歳前後~20代後半程度の美少女・美女でヒロイン陣は占められています。
キャラ付けに関しては不器用だったり駄目なところがあったりするヒロインが多く、素直になれないツンデレさんという定番もあれば、極度の恥ずかしがり屋や胸もお腹もたっぷり育ってしまった食いしん坊娘、果ては金銭感覚が滅茶苦茶で挙句自分のエロボディでお金を稼ぐ破天荒お姉さんなど、ちょっと変わった女性達が登場しています。
決してポピュラーな属性付けが明確に為されているわけでもないため、多少の取っ付きにくさはありますが、野郎連中や周囲の頑張りもあってそんな彼女達と幸福な関係を築いていく幸せ流れそのものに魅力があるのも確か。
肢体造形に関してはかなり多様であり、もっちもちとした質感の巨乳・巨尻をお持ちなグラマラス美女も居れば(←参照 この肉感! 短編「おとどけ❤快楽便」より)、プランパー系寄りのぽっちゃり娘、肉付きの弱い貧乳スレンダーさん、並乳装備で全体的に程良い肉感の健康的ボディなど様々。逆に、エロ漫画的に王道な、モデル体型的なスレンダー巨乳はあまり登場していません。ぽっちゃりさんにしても、スレンダーさんにしてもその肉感は割合に現実的であり、モンゴロイド的な野暮ったさが女体に強くあるため、端正さや煽情性を肢体描写に強く求め難いのは確かですが、あくまでしっかりコントロールされた野暮ったさであって、むしろそこに混和する適度なオサレ感で魅せているのが作画面での武器でしょう。
成年向けでのデビュー以前から漫画家・イラストレーターとしてのキャリアがあるため、絵柄の完成度は初期から高く、また初出時期が広いにも関わらず絵柄の質的な差異はあまり感じません。ただ、絵柄にストレートな煽情性のノリが悪く、エロティックに魅せつつも抜きに供するのにやや戸惑うタイプの絵柄かなとは個人的には思います。
【程良い熱っぽさと陶酔感を持つライト指向のエロ描写】
前述した様に、抜き特化の作風ではあまりなく、シナリオパートで雰囲気を十分に盛り上げてから導入されるエロシーンは、どちらかと言えばライト指向。
肢体描写に特徴があることもあって、女体をしっかりと見せ付ける全裸セックスを重視しており、女体と男性の体が触れ合い、絡み合うことでセックス描写に柔肌や吐息の熱を感じさせるのは大きな魅力であり、陶酔感の形成に寄与しています。
ただし、特に演出面で顕著なのですが、標準的なエロ展開をスムーズに流していく一方、ここぞで盛り上がる描写や演出に欠けており、コンビニ誌として標準的な尺を抽送パートに割いているにも関わらずフィニッシュシーンに至るまでの流れに少々あっけなさを感じてしまうのは抜きツールとして小さくない問題でしょう。
このエロ演出面での弱さは、絵をページ内にしっかり詰め込んでいるにも関わらず印象が軽いという長所でも短所でもある状態を生み出していたのですが、初出時期が最も新しい「おいでませ」シリーズ第3話では作画密度が格段に上がっており、演出や構図の良さもあってエロに濃厚さを打ち出してきたのは頼もしいところ。
また、初期作から派手な表情変化を抑制しつつ快楽に紅潮するヒロインの表情や、舌を絡め合わせるキスや性器結合部の描写といった粘膜の絡め合いなどを淫猥さが過剰にならない程度に構図に含める手法など(←参照 フィニッシュシーン 短編「~変な彼女~見つめられるのが駄目なんです」より)、過激さはむしろ抑えてベーシックな演出・作画で徐々に快楽曲線を押し上げていくスタイルは、ライト指向の読者層にはむしろ好適な要素と言えます。尺の都合上、前戯パートに割ける余裕があまりなく、ヒロインの柔らかボディの愛撫などを描きつつもフェラやパイズリでの射精パートは少なめで、あくまでピストン運動から持ち込むフィニッシュシーンが抜き所。なお、個人的には減点対象では全くありませんが、現在のエロ漫画単行本としては中出しフィニッシュの割合が低めで、ぶっかけフィニッシュやゴム付きセックスも頻出することには要留意。
強力な抜きツールとしのお勧めは管理人としては出来ない一方で、エロが十分に有っての微笑ましい青春ラブストーリーとしてはしっかり魅力的であり、かつ読み手をあまり選ばない作風。成年向けジャンルでの今後の活動は不確定な部分が大きいものの、前述したエロ演出の飛躍的な向上などを見るに、今後により期待をしたいところ。
個人的には、子犬系もっちりボディヒロインをドックスタイルで激しくエッチな「おいでませ」シリーズ第3話「おるすばん わんわん」が実用性が最も高く感じて最愛でございます。








